偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

浦賀和宏『八木剛士 史上最大の事件』読書感想文


純菜との距離を縮めていく八木剛士だったが、同時に学校での彼へのいじめも激化。
更には謎のスナイパーにも追われる剛士の身に起きた「史上最大の事件」とは......。


八木剛士 史上最大の事件 (講談社ノベルス)

八木剛士 史上最大の事件 (講談社ノベルス)

こんなに好きになっちゃった
恋愛ってワンダー 全てが煌めいて見えるよ


さて、シリーズ4冊目となる今作は、ついに話が大きく動く!ような感じがしないでもないの巻です。

まだミステリの範疇にあった最初の2冊、エロ萌え作家の語りという異物が存在感を放った3作目と比べて、本作はミステリ要素がほぼ消えた反面、主人公・八木剛士の物語としてエモさが急加速していき、青春小説としてはぐんと面白くなってます。
まじでもうエモすぎて、正直読んでて頭がクラクラしました。本を読んでここまで感情を揺さぶられたのは久しぶり。まぁ夜中に一気読みしたので、いわゆる深夜テンションのせいも少しあるでしょうけど。


まずは冒頭の剛士と純菜のイチャつき具合ににやにやせざるを得ませんでござる。
恋愛ってこのくらいの時期が一番純粋に楽しいですよね。好きな子と2人きりの時間。相手も自分を悪からず想ってくれているという嬉しさ。そして、恋の駆け引き!そう、イッツ・ワンダフル!!

しかし、光が強いほど影が濃くなるのもまた事実で、これまでになく壮絶ないじめのシーンは(私は軽くいじめられていただけでここまでのは経験したことないけど)我がことのように頭に血が登ってしまい、本を壁に叩きつけるのを我慢して渋々読み進めました。

しかし、闇が濃いほど光が輝くのもまた事実で、純菜との関係は下り坂を駆けるチャリンコのように急加速して行きますが、坂道を爆走するのは危ないよと言わんばかりに降りかかるのは「八木剛士史上最大の事件」......。
これはもう、あまりに悲劇的すぎて爆笑しましたね。はい。
あー女って何だ?!あー女って何だ?! あー女ってさ、何なの?!ですね。
とりあえずコンビニで缶ビールでも買って、次巻を読みたいと思います。