偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

アバウト・タイム 愛おしい時間について

いやー、ついにこの大人気作を観ましたよ!観たんですけどね......。







スコア: 1.0 ★☆☆☆☆


一族の男に代々伝わる特殊能力であるところのタイムトラベルを使って恋も仕事も成功させてハッピーライフを送る主人公を描いたサイコホラー映画です。

主人公は上流家庭で何不自由なく暮らしながら彼女ができないことに悩む内気な青年のティム。そんな彼が、父親からタイムトラベルの方法を伝授されるところから物語が始まるのですが......。

このタイムトラベルが、暗いところにさえいけば無制限に何度でも何の副作用もなく使いまくれるチート能力なのがやっぱりいけないですね。
そんな能力があったらそりゃ使いまくるよ。
実際主人公もその能力を使って一目惚れした相手を時空手篭めにしてお互いへの愛を育みます。
しかし、それってどうなんでしょうね。

知らぬが仏とはいえ、1人の男に目をつけられたばかりに人生のあらゆる選択を奪われ、奪われたことにすら気付くこともできずに操り人形のように彼と愛し合うヒロインのメアリーを見てるとなんだかなぁと思わずにはいられねえよ。
しかも、まさに知らぬが仏で彼女は大きな幸せを手にしてるわけですからね。「幸せになったんだからいいじゃん」的なあざとさを感じてどうにも好きになれないですよ。
まぁそんでも、彼女は主観的には幸せになったからいいとして、ティムのタイムトラベルによって手に入れられたはずのものを奪われたモブの人たちの人生は所詮モブだから見ないフリでいいってか?あ?

後半ではタイムトラベルの効果によってなかなかゾッとする現象が起こったりもするんですが、そんなものも「タイムトラベルしたことをタイムトラベルによって消す」という裏技があるのでなかったことにすればいいだけって......さすがに都合良すぎないですかねぇ?ここでホラー展開に持ってくとか、自分のやってきたことの傲慢さに気付くとかがあれば良かったけど、結局全てのことから逃げるんですね、君は?と。

そんで最後にちょっと泣ける感じのメッセージを組み込まれてもね??
そりゃ、そんだけ人生インチキしてめちゃくちゃ美人な妻を手に入れて毎晩やりまくって仕事も能力以上の成功を収めて、しかも何かあっても最悪の場合タイムトラベルして無かったことにしたり、失業したって宝くじでも当てれば金に困ることだってないっていう、そんな人に「毎日今日が最後だと思って生きるんだ」とか言われても、鼻くそほじりながらゲップで返事するくらいしか出来ねえっすけどね......。


まぁ、もちろん、レイチェル・マクアダムスは最高にキュートでセクシーで最高だけど、最高というよりはもはや最高なんですけど、本作の良かったところなんてほんとそれくらい。
0点に彼女とビル・ナイへの加点を加えて1点ということにしときますけど、いやこんな大人気作にそんな辛辣な評価をしたらみんなに嫌われて一気にフォロワー減っちゃう!!しまったどうしよう......。

すみません、みなさん、ちょっとトイレ行ってくるんで1分待っててもらっていいすか......?









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スコア 5.0 ★★★★★


はい、観ましたよ!
いやぁ、各所での評価もべらぼうに高い本作ですからどんなもんじゃいと思って観たんですが、期待に違わずめちゃくちゃ良いじゃないっすか!滂沱でしたよ涙!!


あらすじはさっき書い......いや、なんでもないですけどまぁめんどくさいんで省略しますね。


前半はタイムトラベルという能力を使って幸せを掴んでいく主人公を描いたサクセスコメディになってまして。

冒頭で描かれるティムくんの一夏の儚い初恋模様は、タイムトラベルを使ってもなお始まらない恋という無理ゲー性が恋愛というもののままならなさを見事に表していてホロ苦いです。
そんな切ない初恋を最初に見せられているからか、本筋のメアリーちゃんへの恋については反則技を使ってるし最初はかなりキモいのに、なぜか応援したくなっちゃうんですよね。メアリーちゃんの笑顔素敵やし。
人生で最高のセックスもすごくにやにやしちゃいました💕

そんなハッピーのインフレーションが中盤まで結構長いこと続くので、まぁ終始にやにやと嫉妬との間をアンビバレントに揺れ動きつつ、レイチェル・マクアダムスがどこをどう見ても可愛いのでそれだけでご飯50杯は食べれるわけでして(特にジャケ写のシーンの美しさと幸せさには失神しそうでした!)。

ただ、終盤に差し掛かってくると、さーて起承転結の転をやっちゃうぞとばかりに悲しいことも降りかかってくるんですね。
そして、アメイジングな能力を持っていてもいつかは受け入れるしかない悲しみに直面した時、ティムは人生に大切なことを悟るんです。
ここはもう泣かずにはいられないですね。もしもですけど、こんな泣ける場面を鼻くそほじりながら観てるような奴がいたらそいつは鬼ですよ。人の心がねえ。

本作はその設定から、なんというか本当に主人公がタイムトラベル出来るという前提で観られている気がしますが、それはまぁ寓話的誇張ですからね。
にやにやしながら見れて、見終わったら今この時を生きよう、と、そんな勇気をくれる素晴らしい映画でした。

最後に、私の座右の銘でもある素敵な言葉を紹介してこの感想を終わりたいと思います。

今日という日は、残りの人生の最初の一日