偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

今月のふぇいばりっと映画〜(2019.8)

さて、今月です。最近はわりと新作を映画館で見れてますね。トイストーリー4めちゃエモでしたよ〜〜......。



ベンジャミン・バトン 数奇な人生
とらわれて夏
孤独なふりした世界で
メイクアップ 狂気の3P
世界一キライなあなたに
トイストーリー4
チャイルドプレイ(2019)




ベンジャミン・バトン 数奇な人生


80歳の姿で生まれ、歳をとるにつれて若返っていく男、ベンジャミン・バトンの一生を描いた大作。

観る前は「老人の姿で生まれるって、成人サイズでママのお腹からずるずるって出てくるのかな?結構グロいな?」と無駄な心配をしていましたが杞憂に終わりました(?)。
設定こそ奇抜なものの、描かれるのはフィンチャーらしい「人生とは」という普遍的なテーマなんですね。

少年期に、その容姿から老人たちとともに育ち、常に死を身近に見てきたベンジャミン。
幼い頃から死を身近なものとして内包していた彼が生きていくにつれ生命力に溢れるイケメンブラピになっていく様を観ることで、生きるということについて考えさせられます。
しかし童貞を喪失する場面とかめちゃ笑ったし、そういうところどころユーモアを挟んでくるのもステキ。

そして、恋愛映画としてもこれはダメなやつ(良い意味で)。
すれ違いまくる主人公とヒロインを描いているんだけど、なんせガチで成長の方向がすれ違ってるから、切なさ百倍。
日の出や日没の前後に一瞬だけ見られる薄明の時間帯のことをマジックアワーと呼ぶらしいですが、2人の年齢が一瞬だけ同じになる時期が、まさにそのマジックアワーのような美しさでした。ベンジャミンにとっては日の出前の、デイジーにとっては日が落ち始める頃の......。

「お互い追いついた」

しかし、進む方向が違うから、追いついた後はまた離れていってしまう。
追いつく場面が美しいだけに、そこから先は涙ちょちょぎれずには観られませんでした。
それでも、人生は素晴らしいというキャッチフレーズを実感するには十分の美しさと暖かさにエモ鳥肌が立ちましたね。
こないだ『セブン』を観たことだったので余計に沁みるんだよねこれ。




とらわれて夏

とらわれて夏 [DVD]

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1987年のレイバー・デーの週末。夫に去られた心の傷を抱えているシングルマザーのアデルは13歳の息子のヘンリーと共に買い物に出かけたところ、逃亡犯の男と出会い、匿うことになる......ってお話。


こういう、サスペンスぽくシリアスタッチなラブストーリー良いですね。「セイフ・ヘイブン」とかああいうイメージの。
全体に夏の午後の陽光みたいな色合いの映像も好きです。生活感もあり、でも特別感もあり。

そしてシングルマザーのケイト・ウィンスレットってのが堪らんですわ。むちゃくちゃな色気がむんむんと漂ってきて息がつまりそう。
逃亡犯のおっちゃんもすごいカッコよかった。こんな男臭いおっちゃんに手料理をあーんされたら惚れる他に選択肢はないでしょ。
そんなステキな2人のいちゃいちゃは観てるだけでこっちもにやにやしちゃいますが、一方で夏とともに終わってしまう予感にハラハラもします。

それを息子の視点で描くことで、よりセンシティブに、そしてえっちなシーンも直接的に描かれないことでよりえっちになってて良いです。息子くんにできる女友達もすごいえっち。えっちなことに興味は出つつもまだ性欲が脳内の1000%を占めるアノ時期には入っていないくらいの彼の視点がThis is 最高にちょうどいいっす。


また、邦題も良いと思いました。
原題は労働者の日を表す「レイバーデイ」。しかし、日本では馴染みのないその言葉を、「とらわれて夏」というキャッチーながら作品を見た後で二重にも三重にも意味を持って余韻となってくるタイトルに変えたのは見事。‬タイトルだけでもつい観たくなっちゃうエモみがありますね。




孤独なふりした世界で

孤独なふりした世界で [DVD]

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「パーティーで女の子」を観て以来エル・ファニングの天使性が頭を離れたことはなかったのですが、その後「ネオンデーモン」くらいしか観てなくて、こないだTSUTAYAに行った時にふとこの作品を見つけて「あ、エル・ファニングじゃん!」と思って借りちゃったわけですがマジでエル・ファニングはヤバすぎてヤバい。


まぁそれは後述するとして、本作は人類が滅びちゃったっぽい世界で生き残った主人公のデルが、ある日同じく生き残りのエル・ファニングことグレースに出会うっていうお話。


設定はSFっぽいですが、なんで世界がそうなったかとかの説明はなく、あくまでその状況で繰り広げられる人間ドラマを愉しむ作品でした。
また、設定の都合上セリフも少なめで、全体に起伏には乏しいですが、その分この設定ならではの淡々として静かな空気感が好きな人には堪らんです。

そう、この「自分しかいない世界」、というのがすごく良いんですよね。
主人公はひとり上手なヤツで、周りに誰もいない世界でも淡々と仕事をこなし、映画見て本読んで釣りをしてと趣味もエンジョイしてる。私だったら寂しくて発狂するとは思いつつも、どこか憧れてしまうところもあって、映画の中で体験する分には結構心地よさもあったりしました。


そんな主人公の、「町に人がいた時のが孤独だった」というセリフに象徴されるように、本作のテーマその1はタイトルにもある通り"孤独"。

せやねん、日常で孤独を感じるのって、1人で家でごろごろしてる時とかじゃなくて、3人以上で遊びに行ったりしてる時やねん。そこに他人がいるのにどうしようもなく断絶を感じてしまうという孤独がつらいですよね。ドッグのシーンとかはそれが感じられます。

一方、もう1つのテーマは"過去"。
これはあんま触れるとネタバレになってしまうので書きませんが、私の大好きな別のとある映画にも通じる過去との向き合い方を教えてくれます。
昨日見たんですけど、ちょうど我が国で70年以上前に忘れてはならない出来事が起こった日。そういうタイミングでのこともあって、本作の結末は非常に印象的でした。


そして、エル・ファニングがマジでマジです。
まずもって顔とか見た目自体がもう完璧にどタイプとかを越えて人類の至宝、いや、もはや人間じゃねえくらいの超越的完全天使でありながらにして、その強い瞳には一雫の憂いが垂れ落ちてメンヘラになりたいおじさんこと私のハートを徹頭徹尾にブレイキングしやがります。

作品自体もちろんかなり面白かったですけど、エルファニングが2時間近くもの間観れるだけで本当は100点付けたいくらいですよ。5点満点で。




メイクアップ 狂気の3P

メイク・アップ 狂気の3P[DVD]

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イーライ・ロス『ノック・ノック』のリメイク元。

妻子と幸せに暮らす主人公のジョージ。しかし、妻子がしばらく留守にしてる雷雨の夜に2人組の美女がこんこん泊めてくださいなと押しかけてきて気付けば3Pしちゃってて翌朝から彼女たちは傍若無人の暴走を始めるっつうホームインベージョン・スリラー。


このめちゃくちゃなカルト感は最高っすね!
まずもうオープニングからして、のどかすぎて逆に気持ち悪い童謡みたいな歌に載せて微笑ましすぎておぞましさすら感じる子供の絵が流れて何を思えばいいのか分からない。

てか音楽についてはわりと全編に渡って特筆すべきオカしさを保ち続けていて怖いです。
例えば問題の3Pの場面にしても、なぜかめちゃリゾート感溢れるフュージョンっぽい曲が流れて、しかも3Pのシーン自体がかなり長いので謎のプロモーションビデオみたいになっててクソ笑いました。あそこは映像もなんかオーバーラップしすぎて何が起きてるのか分からんかった!エロならエロでもっとまともに見せて欲しいとは思いつつ意味がわからなすぎて恐怖を感じました。
他の場面でも執拗に呑気な音楽が流れ続け、狙ってるんだろうけど違和感で精神が分裂しそうになりました。

あと凄いのが、女の子たちの外見がめちゃくちゃ可愛いしエロくて3Pの場面まではちょっとエロい気分で見ちゃってたものの、翌朝以降はもう生理的に無理になることね。
こちとら女性の体には人並み以上に興味を持ってることを自負するものでありまして、そんな私をもってしても中盤からは賢者タイムのように性欲の霧が晴れて世界が澄んで見えました(もちろん3Pの場面で抜いて本物の賢者タイムになったわけではない)。可愛いは正義って言葉に人生で初めて疑問を持ちました。

それはさておき、ストーリーに関してはまぁ前半はやりたい放題でなかなか面白くって、痴漢冤罪みたいなくだりは男子としては特に胸糞悪くなること請け合いで、俺が画面の中に入ってこいつらぶち殺してえわと思うくらいなんで胸糞映画としては見事なもの。
ただ、後半からだんだんと彼女たちのおじさんイジメがネタ切れになってきて変な化粧をしながら奇声をあげること一辺倒になってくるのでだんだんと眠気が襲ってきました。このへんもう20分くらい削ったら良かったのにと思いつつも、退屈で不快なものを見せられるということすらも胸糞映画の胸糞性を形作っているような気はしなくもなくない。

ただ、ラストは本当に最高でして、ジョージに裁きが下されるシーンからの数分はそこだけ毎日見たいくらい。普段一人で声出して笑うことなんてないですけど、さすがにこれは「ふひっ」って変な声出ましたね。
後半の退屈さもこれが観れただけで報われるってくらい、終わりよければ全て良しとは言いますが、終わりがここまでクソだと逆に脱力で全て許せちゃいますね。

という感じで、クソしょうもないC級クソ映画なんだけど謎の異様さとぶっ壊れ方に愛着が湧かざるを得ない珍品でした。心が広くて頭の悪い人にはぜひオススメしたい!



世界一キライなあなたに


※けっこうストーリーの流れのネタバレ含むかもしれません。



バイト先の店が潰れて仕事を探すルーは、近所に住む全身麻痺で車椅子の"元"完璧超人青年の介護のバイトを始める。
最初は心を開いてくれない彼に戸惑うルーだが、徐々に2人は打ち解けていき......。



これはどう評価していいか悩む問題作でありますね。
それは"全身麻痺で車椅子の青年が安楽死を考える"という題材の重さのためだけではなく......。

それはあくまで題材であって、本作のテーマは人と人が分かり合うこと、だと思います。
そのテーマを描くために、本作ではおそらく意識的に観客が好きになれないキャラクターばかりを出してきてる感があるんですね。
だから、キャラに愛着を持って「好きだー!」と叫べる映画では断じて無い。
でも、それゆえにある種のリアリティが強く出ていて、忘れがたい印象を残す作品ではある。
だから、好きとは言えないけど素晴らしい映画でした、みたいな感じになっちゃうんすよね。



まず、全体の雰囲気としてロマコメの文体で社会派を描くような奇妙な違和感はわりと好きです。
重力ピエロでも「重たいことこそ陽気に伝えるべきだ」とか言ってるように、ライトなタッチで重い話をしてくる作品は好きになることが多いんですね。
ただ、邦題はロマコメっぽさを狙いすぎて完全に意味不明、言い換えればわけわかめなものになってしまっています。
世界一キライもなにも、ルーにとってウィルは第一印象がややとっつきづらかっただけで後は別に嫌う要素ないっすからね。


で、問題は題材とテーマですね。
まずこの尊厳死という題材がなかなかに賛否両論あるらしいっすね。
たしかに、車椅子のウィルは、全身を思うように動かせないものの、""我々から見れば""、頭ははっきりしてる......どころか天才の範疇に入るし、家族や友人にも恵まれていて死を考えるなんて甘えだろとさえ思われてしまうのも無理ないところではあるんですね。
でも、それは我々から見たらでありまして。
人生を100点満点で考えるとして、私みたいな常に赤点スレスレの20点代を低空飛行してる人間が仮に事故で全身麻痺になっても落差はまだ少ないですよね。
でもウィルのような100点満点で5億兆点の、頭脳明晰・スポーツ万能・女全員振り向く美貌を併せ持つ男がそうなっちゃったら、その落差は我々と比べ物にならない。
だから私は、決して彼を好きになることは出来ないんです。だって彼は体が動かなくても私よりは良い人生を送れますからね。それを「元々持ってた可能性を失ったなら生きてる意味はない」なんて、許せませんよ。許せないけど、好きにはなれないけど、でも感情移入はしちゃうんですよね。
持ってるものを失うつらさ自体は普遍ですからね。

で、そんな彼に対して相手役となる主人公のルーは、こっちはもうほぼ私と同じくらいくだらない人間で、だから感情移入はしやすいけどやっぱり自分のダメな部分を見せられているようでやはり好きにはなれませんでした。
そもそも最初からして、やれることもやりたいこともないくせに、やりたくないことばかりを声高に訴える彼女の姿に自分を重ねてしまいとても嫌でしたし、案の定「他の人じゃなくてあなたを雇う理由はあるの?」と聞かれて上手く返せないところなんか、まじでこいつ(俺)ってゴミだなと思いました。
(ちなみに笑うとめちゃくちゃブサイクになるのは最高に可愛かったです)。

しかし持ち前の明るさのためか何故か受かっちゃうから早くも私は疎外感。
でも性格がそう簡単に変わるわけじゃなく、彼氏のパトリックに対してなあなあな態度を取るところはやっぱりムカつくし、彼氏はクソくだらない奴だけど悪い奴じゃないのに可哀想すぎました。
こういう場面を主人公目線でさも「彼氏くん滑稽ですよね観客の皆さん笑ってくださいね」という体で見せられると私はどこにいればいいのか分からずにそのへんを幽体のように彷徨う。
しっかし、この彼氏との確かに滑稽なまでの通じてなさは、本作のテーマを分かりやすく表す一例でしょう。
そう、私の敬愛するミュージシャンの歌詞に「私以外私じゃないの 当たり前だけどね」という言葉があり、私はその歌詞を座右の銘にしているのですが、本作のテーマもやはりそれなのです。
人と人はどんなに分かり合おうとしても私以外私じゃない。本当に誰かと内面の全てを共有できるなんてことはありえない。
だから、彼氏が出てくるシーンには常にそういう無力感を(私が勝手に)感じて泣けるんです。
なぁ、パトリックよぉ、お前だってきっと頑張ってプレゼント選んだんだろ?彼女がイケメンと旅行に行くなんて、たとえ絶対にセックス出来ない保証があっても嫌だよなぁ?俺は分かるぞ、俺だけがお前の気持ちを分かってやれるんだ......。
なんて、勝手にそんなことを思ってみたり。

他にも、競馬場のレストランのお姉さんの話の通じなさ(まぁ仕事やししゃーないけど顔がムカつく)とか、ルーの母親のイエス様への傾倒っぷりなど、人それぞれ自分の立場からしか物を見ることはできないということをこれでもかと突きつけてきます。

そして、そんな通じなさは主役の2人の間にも横たわっています。
互いに深く想い合うようになるにつれ、しかしその隔たりが見えるようになってくるのが泣かせますね。
そんな彼らが最後になにを選択するのか。それはもちろん書けませんが、私みたいな心の汚い人間もわりと泣けるくらいには泣けましたよ(語彙)。
やっぱり、あくまで主人公は普通の女の子で、なんだけど彼と出会うことでなかなかに成長してあのラストに至るっていうのがいいですね。
ただまぁひとつ惜しいのは、やっぱり私は見てて主人公を信頼しきれなかったので、彼女がこのラストで酷いことを考えていたとしても不思議はないなぁと思っちゃうところですよね。ここは主人公をクソ女にした弊害でしょう。

とはいえ、ともあれ、キャラクターを全然好きになれないにも関わらず、そのメッセージとキャッチーな映像の楽しさで魅せてくれる、ある意味凄い傑作でした。




トイストーリー4

トイ・ストーリー4 (オリジナル・サウンドトラック)

トイ・ストーリー4 (オリジナル・サウンドトラック)

前評判を聞きすぎて結末はなんとなく予想できちゃってたものの、それでも衝撃で鳥肌が立ちました。
これは賛否両論あるのも納得。というか、私の中でさえ賛否両論です。

とりあえず、結末がヤバい作品ではあるのですが、結末を抜きにしてそこまでのストーリーだけ見たらシリーズで最も微妙と言わざるを得ない気がします。
そもそも、色んな要素がツギハギされたようなストーリー展開で、これまでの作品のように、「保育園に囚われた仲間たちをウッディが助けに行く話」みたいにワンセンテンスであらすじを書くことができないんですよね。
この期に及んで新キャラめっちゃ出てくるし、一人一人キャラが立っているのは良いんだけど、立ちすぎてて細かいエピソードの寄せ集めみたいになっちゃってる感がありました。

あと、今回重要な役を担う新キャラのフォーキーなんですけど、こいつヤバすぎませんか。映画が始まって早々、自殺未遂を繰り返すサイコパスが出てくるんだから、正直かなり引いたというか、おぞましさで震えましたよ。大人が見ても楽しめるリアルな心理描写が魅力のシリーズとはいえ、こういうリアルさはどうなのよ......。彼のせいでなんか序盤とか、誇張して言うなら『ヘレディタリー』とか『ファニーゲーム』みたいな精神的に来るタイプのホラー映画を見てるような気分に陥りましたよ。


現時点でだいぶくさした感じはしますが、良かった点も書いとくか。

映像、良いですね。
1、2は現役の子供へ、3が大学生になった当時の子供へ向けた作品だとすれば、本作はその大学生が社会人になって家を出て行った後の母親に向けてるくらいな感じでして。
そのためか映像も夕暮れや夜、あるいは昼でも暗いアンティークショップの店内なんかが大半でシックでオシャンティな雰囲気全開でした。
店内のとある美しい場面、あるいはラストシーンの映像としての美しさは非常に印象的でした。


で、問題はそのラストなんですけど、とにかくびっくりしたっていうのが先に立ってしまって放心しました。
しかし、我にかえってみても、これはやっぱ自分の中でも賛否両論っすね。

私の中の否の部分曰く、「3のラストの感動を返せ!」というところではありまして。
あの美しすぎる3のラストを真っ向から叩き潰したようなもんですからね。いやいや、あのキャラの気持ちも考えてくれよ......と。

しかし、それでも本作がシリーズにとって蛇足とは思えなくて。
これまでこのシリーズで描かれてきたテーマの究極がここにあるんですよね。
それはきっと世の中で正しいとされること、美徳とされることがここ数年でまた変わってきたということでもあるんでしょう。

ともあれ、シリーズは完結してしまえば思い出となって屋根裏にしまい込まれてしまうもの。こうしてまた再起動してキャラクターたちが生き続けてくれることは素直に嬉しいです。

とはいえ、ここまできてしまえばもう「トイストーリー5」は無いでしょうね......きっと......。それならそれでスピンオフとかでもまた見れたらいいなと思いますけどね。




チャイルドプレイ(2019)


このところホラー映画のリメイクやらリブートやらが続いていてやや食傷の感は否めないものの、やるなら気になっちゃうのがホラーファンの†業 -Karma-†というやつです。
てわけで、オリジナルシリーズは1と5しか観てないけど結構好きな「チャイルドプレイ」のリメイク。


オリジナルのチャッキーは殺人犯の魂が乗り移った人形でしたが、本作ではリミッター解除されたAI。
設定の根幹が斯様にガラッと変わっているので、リメイクとは言っても別物として楽しめる感じのリメイクでした。チャッキーのビジュアルもオリジナルの愛嬌がなくガチ怖ですし。

近年のそういうリメイクものらしく、テーマ性はかなり現代的にアップデートされています。
AIの暴走というのももちろんで、IoTっつうんですかね、色んな物がインターネットに接続されてるせいでチャッキーが神のように何でも操れちゃうっていう。それが恐怖のキモになってるあたり今風で、殺人鬼の魂よりはリアルな恐怖を感じられます。

また、チャッキーとアンディの関係性というキャラ付けの部分が、なんと驚いたことにヤンデレBLだったんですねぇ......。
私は全然そのへん詳しくないですけど、ヤンデレにも病みが自分に向くタイプ、相手に向くタイプ、周りに向くタイプと色々ありまして、本作のチャッキーは3つ目の周りに向くタイプだったんですねぇ......。
だから、チャッキーのアンディへの愛がそのまま殺戮に繋がっていくという、闇のラブストーリーとしても見ることが出来る懐の深さがあるんですねぇ......。

スラッシャーとしても、結構殺し方がエグくて良かったす。
うぜえ男はまだしもあっさり殺されてもっと苦しめよと思っちゃいましたが、その次の犠牲者の死に方はなかなかに嫌でしたねぇ。「サスペリア(2019)」ほどじゃないけど、こんな死に方は嫌だシリーズですよ。
あと、クライマックスで2回くらい殺された人なんか、何も悪いことしてないのに可哀想すぎて爆笑しました。ホラーファンってサイコパスですよね。

でもやっぱりラブストーリーなので、最後はちょっと泣けちゃうあたりもニクいですね。
チャイルドプレイのリメイクに期待してたものは全くなかった代わりに、それとは別の、しかしとても面白い映画に仕上がっていた良作。
ちなみにトイストーリー4に思っくそぶつけに行ってるあたりの悪趣味なロック精神にも好感が持てるし、この二本は表裏一体な感じがありますね。