偽物の映画館

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トリプルヘッド・ジョーズ

まーたクソくだらねえサメ映画観なきゃいけないのかやれやれまったくカンベンしてほし......あれ、面白い......?

トリプルヘッド・ジョーズ [DVD]

トリプルヘッド・ジョーズ [DVD]

製作年:2015
監督:クリストファー・レイ
出演:カルーシェ・トラン、ジェイソン・シモンズ、ロブ・ヴァン・ダムダニー・トレホ

☆3.4点


はい。なんと本作、「ダブルヘッド」や「ファイブヘッド」に比べて普通に映画として面白かったです。比べる相手が悪いとも言えますが、やれば出来るじゃん!


まずびっくりなのが、オープニングのパニックシーンが終わると、冒頭いきなりなんだか真面目な雰囲気になることです。

本作の主人公は海中にある海洋研究所に就職した新人研究者のマギーとその元カレのグレッグ。
研究所では、環境汚染による海洋生物の突然変異について研究していて、汚染によってフリークスになった生物たちを飼育しています。この辺の設定の作り込みがしっかりしているため、本作では「三つ首の鮫」が登場しても他の超サメ映画につきものの「いやいやありえへんやろ〜ww」がなかったのがまず凄いところです。
そう、ゴジラが公害によって生まれたように、本作のトリプルヘッド・ジョーズもまた海の環境汚染から生まれた化け物です。トリプルヘッド・ジョーズが人間を喰い散らかしていくのは、謂わば我々人間への警鐘。本作はB級映画の皮を被った、メッセージ性の強い社会派映画なのです。


とはいえ、超サメ映画が真面目なだけでは期待外れですが、本作はもちろんサメ方面のバカバカしい映像もてんこ盛り。
サメはイルカショーのように華麗に宙を舞い、三つの頭で人を喰らう!サメに食われた人間は牙の間から断末魔の表情を!もちろんおっぱいも盛りだくさん!(※健全な映画だからポロリはないよ!)。


そして、展開の広げ方も魅力的です。
序盤は水中の研究所からの脱出で引きつけてくれます。水中施設の閉塞感がサスペンスを際立たせる見事な引きでしたね。
さらに船を手に入れてからはいよいよサメ映画らしく、船上の人々の人間模様とサメによる容赦ない襲撃に今度はアクション的に手に汗握ります。
さらに終盤はホラーっぽさやどうやってサメを倒すのかというミステリー的な要素も......すみません言い過ぎました。でもサメの倒し方はなかなかバカバカしすぎて逆に意表を突かれました。
超サメ映画ってどうしても出オチみたいなもんで、序盤で飽きちゃうことが多いですが、本作はこれだけ展開がうねってくれるので飽きずに一気見でした。
さらに、個人的に一番好きなのがラストシーン。(ネタバレ→)普通はこういうB級映画って最後倒したと思っていたサメやゾンビや殺人鬼が実は生きてたり新しく出てきたりするわけですが、本作はそれを皮肉っぽく茶化しながらきちんと平和を取り戻して終わるのがステキです。ストーリーに力を入れていただけあって、最後で無粋にぶち壊すようなことをしないんですよね。超サメ映画でありながらシャレたラストシーンでした。


というわけで、なめてかかってましたが普通に映画として面白い作品でした。と言っても多分信じてはもらえないことは分かっています。自分でも本当に面白かったのか、わりと半信半疑ですから......。