偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ミステリ

「アンダー・ザ・シルバー・レイク」への小並感、あるいはメモ程度の文章

フォロワーさんに勧められながらも観れないまま上映最終日を迎え、運良くその日に仕事が早く終わったのでこれも巡り合わせかと名駅まで観に行ってきました。 『イット・フォローズ』のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督による、L.A.を舞台にした映画です…

深水黎一郎『大癋見警部の事件簿』読書感想文

「読者が犯人」に挑戦した野心作『ウルチモ・トルッコ』でメフィスト賞からデビューした著者による、本格ミステリのお約束を茶化しまくったコメディ短編集、あるいはミステリ評論集(決して"ミステリ短編集"とは呼びませんからね!)です。大癋見警部の事件簿 …

青山文平『半席』読書感想文

時代小説というものをほとんど読みません。 読んだことがある時代小説を考えてみましたが、ほんとに、大好きな泡坂妻夫先生の諸作と、時代小説というよりは少年漫画に近い山田風太郎の忍法帖くらいしかありませんでした。 そんな私ですが、ミステリ界隈で「…

浦賀和宏『十五年目の復讐』読書感想文

十五年目の復讐 (幻冬舎文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2018/10/10メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 著者の前作『Mの女』を読んだ時には、正直なんだかよく分からない話だなと思いました。というのも、『Mの女』は短いページ数…

浦賀和宏『姫君よ、殺戮の海を渡れ』昔書いたの

姫君よ、殺戮の海を渡れ (幻冬舎文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2014/10/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (10件) を見る糖尿病の妹がキャンプに行った利根川でイルカを見たと言う。誰も妹を信じないことに憤った主人公は、妹と友…

浦賀和宏『ファントムの夜明け』昔書いたの

私の中ではここ数年恒常的に浦賀和宏ブームが起こっています。そのためブログを始める前に書いてた浦賀作品の感想をこっちに移して来ようかと思います。ファントムの夜明け (幻冬舎文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2005/03/01メディア: …

トマス・H・クック『夏草の記憶』読書感想文

チョクトーという田舎町で診療所を営む医師のベン。彼は今でも30年前のことを思い出す。高校生だったあの頃、転校生としてチョクトーの町にやってきた少女・ケリーに恋をしたこと。そして、あの夏、ケリーの身に起こった悲劇のことを......。夏草の記憶 (文…

小川勝己『撓田村事件 ー iの遠近法的倒錯』

『眩暈を愛して夢を見よ』に続いて読むの2度目の小川勝己。 舞台は、岡山県香住村の撓田地区。村落合併以前からの閉鎖性から、香住村に吸収された後の現在も「撓田村」と呼ばれることもあるこの地区で、下半身をちぎり取られ不気味な装飾が施された遺体が発…

多島斗志之『不思議島』読書感想文

多島斗志之。 本人が失明することを厭って失踪してしまったということが話題になった作家ですが、結局発見されることなく、恐らく死亡認定がなされてしまっているであろう年月が経ってしまっています。そういうことは知っていながらも作品は読んだことがなか…

米澤穂信『真実の10メートル手前』読書感想文

『さよなら妖精』『王とサーカス』に連なる大刀洗万智のシリーズの短編集。真実の10メートル手前 (創元推理文庫)作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/03/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る 1話目は新聞記者時代の、2話…

浦賀和宏『HELL 女王暗殺』読書感想文

前作『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』の姉妹編というか前日譚というか、な続編です。HELL 女王暗殺 (幻冬舎文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2018/06/08メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 色んな話が交差してややこしかった…

三津田信三『碆霊の如き祀るもの』読書感想文

刀城言耶シリーズ、前作より6年ぶりの第七長編。 元は刀城言耶シリーズのつもりだった炭鉱もののホラーミステリが『黒面の狐』として出されたこともあって期間が空きましたね。というか、むしろそれ以前の年1冊ペースでこの濃厚なシリーズを出版していた状態…

浦賀和宏『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』読書感想文

元は2011年に講談社ノベルスより発表された、萩原重化学工業シリーズ(=安藤直樹シーズン2)第一弾。この度どういった大人の事情があったのか、講談社ではなく幻冬舎から大幅な加筆修正を経て文庫化されました。 講談社も早く安藤シリーズ文庫化して〜〜 HEAVE…

浦賀和宏『透明人間』安藤直樹シリーズその7

透明人間 (講談社ノベルス)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/11/17メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る幼い頃、理美は透明人間を見た。それから少しして、理美の父は雪が積もる神社の境内で不審死を遂げた。状況は殺人とみられ…

浦賀和宏『記号を喰う魔女』安藤直樹シリーズその5

記号を喰う魔女 (講談社ノベルス)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/05メディア: 新書購入: 3人 クリック: 202回この商品を含むブログ (27件) を見る 安藤直樹シリーズ。本書は、もう完全にぶっ壊れてしまっている人たちのお話。彼らの狂気…

浦賀和宏『とらわれびと』安藤直樹シリーズその4

とらわれびと (講談社ノベルス)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/23メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 安藤直樹シリーズ第4弾。 今回は、大学病院で起こる現代の切り裂きジャック事件に、留美ちゃんとその友達の亜紀子ちゃ…

浦賀和宏『時の鳥籠』安藤直樹シリーズその2

時の鳥籠(上) (講談社文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/05/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る時の鳥籠(下) (講談社文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/05/15メディア: 文庫この商品を含むブロ…

浦賀和宏『記憶の果て』安藤直樹シリーズその1

えー、こないだ幻冬舎から安藤直樹シリーズ2ndシーズン、またの名を萩原重化学工業シリーズの『萩原重化学工業連続殺人事件』『女王暗殺』が文庫化されました。 で、この2冊をここんとこずっと読んでるので、この2冊の感想を書く前に昔書いた1stシーズンの方…

甲賀三郎『蟇屋敷の殺人』読書感想文

KAWADEノスタルジック怪奇・探偵・幻想シリーズ。甲賀三郎が昭和13年に発表した長編本格探偵小説です。この年は戦時下の探偵小説自粛ムードがはじまる前年で、戦前の長編本格ミステリとしては最後に近いものだろうと思われます。 しかし内容はおどろおどろし…

西澤保彦『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』読書感想文

森奈津子シリーズ。 祥伝社文庫の中編「なつこ、孤島に囚われ。」、徳間文庫の短編集『キス』を一冊にまとめた再文庫化作品です。内容としてはSF×ミステリ×エロスということですが、前半はコメディタッチ、後半はやや真面目な雰囲気と一冊の中で作風が大きく…

西澤保彦『夏の夜会』読書感想文

最近西澤保彦にハマってます。 今年は私の中で西澤保彦読むYearなのです。 今回はノンシリーズ長編のこの作品。飲みながらディスカッションするといういつもの西澤ミステリに、人間の心の暗部を描いたいつもの西澤小説が合わさったファン垂涎のいつもの西澤…

駕籠真太郎『ブレインダメージ』漫画感想文

ヴィレバンをふらふらしてたら見つけたやつです。駕籠真太郎の見たことない漫画があったらとりあえず買っちゃいますよねシリーズ。 ブレインダメージ (ガムコミックス)作者: 駕籠真太郎出版社/メーカー: ワニブックス発売日: 2017/11/25メディア: コミックこ…

加藤元浩『Q.E.D 証明終了』全巻読破計画① 1巻〜10巻

『Q.E.D 証明終了』、今までも気になりつつ全50巻+姉妹編シリーズやシーズン2まであって、全部合わせるとあまりの巻数の多さに読むのを尻込みしていました。しかし先日フォロワーさんになぜかいきなり23巻を貸していただき読んでみたらまぁ面白いこと!その…

ドグラ・マグラ(1988年の映画版だポコ!)

今回紹介する作品はこちら! 読んだら精神に異常をきたすなんて言われる三大奇書のあのメンバーの映画版だポコ! 原作は高校時代に読んだきりでうろ覚えだったから復習もかねて観たんだポコ!アーァ、スチャラカチャカポコ! ドグラ・マグラ [DVD] 出版社/メ…

貫井徳郎『修羅の終わり』読書感想妄想憶測文(※全編ネタバレのみ)

《これまでのあらすじ》明日、この作品で読書会をするのですが、困ったことに自分の考察を全くまとめてないっ!焦った私は仕事の昼休み、晩御飯の時間、お風呂の中、あらゆる隙間時間を使って1日でとりあえず分かったことだけ纏めました。 新装版 修羅の終わ…

【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介

〈はじめに〉どんでん返しや意外なオチのある映画って楽しいですよね!真相が明かされて綺麗に騙されれば気持ち良く、真相は読めちゃってもそこまでの伏線の上手さに唸らされることもあり、全然ダメダメなちゃぶ台返しでもツッコミながら観てれば楽しい.....…

ゾンゲリア

「サスペリア」のヒットにより"Zombie2"という映画が惨劇+サスペリアで「サンゲリア」という邦題を付けられました。ルチオ・フルチによるケッ作です。そして、そのサンゲリアとゾンビを組み合わせて作られたのがこの作品の邦題なのです ゾンゲリア [Blu-ray]…

フォロウィング

先日映画館で『スプリット』を観に行った際、クリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』の予告編を観ました。圧倒されました。予告だけでこの迫力なら本編観たら私どぉなっちゃうの!?というわけで、絶対観に行こうと思いつつも、昔の低予算の作…

スプリット

「1番好きな映画は?」と聞かれたら、何と答えるか。映画好きなら時々出くわす難問でしょう。そんなこと聞かれたってミステリならアレがいいしホラーだとゾンビ系ならアレで幽霊系ならアレで人間が怖い系なら......なんていくらでも好きな映画のタイトル出て…