偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

HOUSE(大林宣彦監督)

カルトなホラーコメディという噂だけ聞いていたものの、微妙にその辺のレンタル屋さんに置いてなくて、ずっと観たかったけど観れなかった作品です。ついに観ました。


主人公のオシャレと、その友達のファンタ、クンフー、メロディ、スウィート、ガリ、マックの女子高生7人は、夏休みを利用してど田舎にあるオシャレの叔母さんの家に泊まりに行く。しかしそこで不思議な出来事が相次いで......。

 

 

 

HOUSE (ハウス)

HOUSE (ハウス)

 

 

製作年:1977
監督:大林宣彦
出演:池上季実子大場久美子神保美喜南田洋子

 

☆3.8点

 

 

 

 1

「さぁ旅立とう 日常の中のファンタジーへと」(Mr.Children『fantasy』より)

 

観始めて、まずそのノリの古さに驚きました。これが昭和か!
なにせ女3人集まれば姦しいと言いますからね。7人集まれば......というわけで、彼女らの謎テンションに圧倒されます。

 

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 ↑姦しい姦しい女たち


と同時に演出のチープさも極まってます。これは本当に映画なのか、ローカル局が作ったテレビドラマじゃないのかってくらい安っぽいです。話の導入にしても、パパが連れてきた継母にフクザツな気分になって、家から逃げるために友達と旅をするなんて、とてもありきたりな......。あとパパ役がミステリ作家の笹沢左保でびびりました。笹沢左保って役者までやってたのか......。
叔母さんの家へ向かうシーンからは勢いが出てきたのとこっちもノリに慣れてきたのでちょっとずつ楽しくなってきます。


ゴダイゴのメンバーが総出演の電車シーン、オーディオコメンタリーがうるさすぎる昔話のシーンになってようやく、「あれ、この映画ただチープなだけじゃない......?」と、その謎めいた凄さの片鱗を垣間見せて来る気がしなくもありませんが、この先どうなることやら......。

 

 

 

2

「おっしゃ Let's 世界征服」(きゃりーぱみゅぱみゅ『インベーダーインベーダー』より)

 

さて、サムい序盤の日常パートが終わり、いよいよ田舎の"HOUSE"へ向かう中盤から俄然面白くなってきます。


本作の制作年は1977年。

70年代の"ディスカバージャパン"に乗っかって1976年に『犬神家の一族』が大ヒットした翌年です。

本作も、いかにもな古き日本の田舎を描いています。しかも、作中にこんな看板が出てきたりするからもう確信犯的にジャパンをディスカバーしにかかってますね。

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我々日本人は薪で風呂を沸かします。我々日本人はスイカは井戸で冷やします。そんな我々日本人の魂が描かれた映像は、現在だとむしろクール・ジャパンみたいな感じで海外にウケそうな気もしますね。

 

そして、この辺からコメディ要素にファンタジーやホラーの要素が加わって一気にいかがわしさが増していきます。不気味だけどチープで滑稽さや可愛らしさもある。誰もが言ってる喩えですが、やはりお化け屋敷っぽいというのが一番分かりやすいでしょうか。もちろんイマドキのエグいやつじゃなくて昔ながらの手作り感のあるお化け屋敷。小学校の文化祭でどっかのクラスが作ってたやつを思い出しました。背景が時々絵になるのもそれっぽいです。

 

ちなみに、南田洋子演じるおばさんの名前は羽臼香麗(ハウスカレー)だそうで。時代ですね......。

 

 

3

「this is no way to live and this is the way to die」(the telephones『Kung Fu Village』より)

 

また、中盤からはキャラの魅力もぐいぐい押し出されてきます。
なんでもキャラ名がアダ名だけってのは当時の日本映画としては異例だったようで、Wikipediaを見ると出演者の事務所から「ちゃんと名前つけて」って頼まれたとか。でもキャラの特徴を一言で言い表したアダ名のおかげで7人の美少女たちを一発で見分けられます。マックはマクドナルドばっか食べて太ったからマックなのかと思いましたが、ストマックのマックなんですね。どっちにせよデブって意味のアダ名可哀想......。


7人の美少女とは言っても、名前の通ってる
オシャレ as 池上季実子
ファンタ as 大場久美子
クンフー as 神保美喜
の3人はやはり別格です。
しかも正統派美人と可愛い系と健康的なエロさという三者三様の強みを持っているので男子の間で誰派かと議論が起こりそうですね。


ちなみに私はやっぱりファンタちゃんかなぁ。夢見がちでぼんやりした童顔の女の子って最高ですやんね。

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ほら、かあいいでしょ。 

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 変顔や叫び顔もかわいいんです。

 

でもオシャレちゃんはむしろ兼ね役の母親役の時の白無垢姿がこの世のものとは思えぬ美しさでよかったです。

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こりゃえげつない綺麗。

 

でもでもクンフーのアクションのカッコ良さと腕も脚も丸出しの格好には心の中の男子中学生が疼きましたね。あ、動きが激しすぎていい写真が取れなかったので画像なしです。ごめんなさい。

うーん、でも甲乙つけ難いですね。(っていうかこの人らみんな今ではもうおばさ

 

......んで、そんな可憐な少女たちがエキセントリックなやり方で"家"に食べられて行く、これがやっぱりこの映画の最大の見所で......。
このあんまりな死に方の数々は本作の肝なので書きませんが、やられて行く場面の映像が凄いです。
序盤ではただ安っぽいと思ったチープな映像も、ここまで来るとアート表現としてのチープさに変わります。私はこれ夜中にお酒を飲みながら観たのですが、酔って幻覚でも観てるのかなってくらいに奇天烈です。

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こんなんとか、もっとファンタジックな映像が続出です

 

クライマックスは何が起こっているか分からないほどにサイケデリックでしっちゃかめっちゃか。そんな怒涛の笑いと恐怖の果てにあるのは......。

 

 

 

4

「私待つわ いつまでも待つわ」(あみん『待つわ』より)

 

真っ暗なお化け屋敷をドキドキしながら探検して、出口から外に出て青空を見てほっとする安心感と満足感。これが夏の醍醐味ですね。
この映画におけるほっとする青空が、ゴダイゴの歌うエンディングテーマ(そして一緒に流れる映像)です。
あれだけめちゃくちゃしといてなんとなく綺麗に終わるのズルいんですけど、やっぱいいですね。終わり良ければ全て良しですよ。

 

ただ、一つだけ惜しいのが最後の熟女のPV。あれ要る?ズルズルと後日談を続けられてクライマックスの興奮が削がれた気しかしないです。

 

とはいえ、アーティスティック・ファンタジック・アイドル・ホラー・コメディとしかジャンル分けのしようのない怪作なので夏の思い出作りにぜひ観てほしいです。

キングスマン

 

 

「私たちは光った 意味なんてなくたって」(RADWIMPS『光』より)

 

 

 

 

製作年:2015
監督:マシュー・ボーン
出演:コリン・ファースタロン・エガートンマイケル・ケインサミュエル・L・ジャクソンソフィア・ブテラマーク・ストロングソフィー・クックソンマーク・ハミル、ジャック・ダヴェンポート

 

☆4.0点

 

今見終わって、興奮の赴くままに書いてます。普段以上に雑な感想です。
既にアクション映画の金字塔のような扱いを受けている作品なのであらすじを書く必要もないでしょう。簡単な言えばスパイものです。


潔いほどにエンタメだけを志向した作品なので


"めっちゃカッコよかった!"
"みんな観るんだ!"


以外の感想も本当は必要ないでしょう。

 

けどまぁそんだけなのもアレなので蛇足を少しだけ書きます。

 

作中の「これが映画なら......」というセリフに象徴されるように、オーソドックスで古典的な「カッコいい映画」「イカす映画」「シャレの効いた映画」らしい演出を確信犯的にキメまくってきます。
古典名作のお約束を意識的に茶化しておきながら、その茶化し方がより高次の格好良さへと止揚されているのがサイコーですやん!!
スパイアクションなのに××まで飛んで××××を撃つなんてシーンまであったり動物でほっこりさせるのも忘れません。ゴア描写もけっこうエグくて、最初の半分にするシーンをはじめスプラッタホラーファンにも楽しいからすげえや!!ホントに全部乗せ!!
あと「シャイニング」オマージュいいね!「シャイニング」自体は好きじゃないけど「シャイニング」オマージュのある映画は大体好きですよ私は。

 

で、そんな古典的なネタをふんだんに使いながら、アクション部分はもちろんこれまで観たこともないようなスタイリッシュさを誇っています。あ、アクション映画普段見ないから適当に言ってますスミマセン。
でもほんと、(ネタバレになるからRADWIMPSのアルバム名に喩えてボカしますけど)人間開花のシーンはサイっっコーー→→→→→→→→ですね!!誰かあの場面のGIF画像とか持ってたらください。

 

ちなみに続編が決まってる(てかもう出来てる?)らしいですが、そうなるとサミュエルLジャクソンのあのキャラ設定は伏線ですよね?すでに2への伏線がしっかり張ってあるのもお見事!

映画館で観るべき映画だったと思うので「2」は必ず映画館へ足を運びます。

 

 

人間開花(通常盤)

人間開花(通常盤)

 

 

 

太宰治『人間失格』読書感想文

若い頃の方が感受性が豊かである、というのは嘘だ。
この作品を中学生の頃に読んだ時にはなんかヤバいものを読んだという気がしただけでそのヤバさが全く分かっていなかったが、先日何となく自分は人間未満なのだ!とはっきり気付いて、これを読み始めた。最近、メンヘラを始めた。私は型から入るタイプなのだ。

 

 

 

人間失格 (角川文庫)

人間失格 (角川文庫)

 

 

 

今さら説明するまでもないだろうが、主人公・大庭葉蔵の手記という、太宰得意の一人称形式で描かれる本作は、太宰治の自伝的作品とも言われる長編小説である。
幼少期から人間の生活に馴染むことができず、人からそのことを悟られないようにお茶目なフリの"お道化"を演じてきた葉蔵。そんな彼が、青年期には幾人かの女と心中未遂を繰り返し、酒と薬に溺れ、廃人同然になるまでを描いている。

 

 

 

さて、この小説、中学生の時にはヤバいやつが色々ヤバいことして最後ヤバいことになるなんかヤバい話、くらいの認識しかなかった(あながち間違いでもない?)。無理やり読まされた文学作品に対する人生経験皆無の中坊の感想なんて得てしてそんなものだ(今も大した経験はないが)。
だからそのイメージでこれまで別に再読しようという気にもならなかったのだが、今回読んでみて印象はガラリと変わった。

そう、これは共感する小説なのだ!
......って何を今更と言われそうだが、中学生の私はまだ人間に合格していたから当時は気付かなかったのだろう。
もちろん、物語の筋だけ見たら、こんなに女にもてて心中未遂を繰り返した経験などしている人は少ないだろう。非モテ童貞ゴミクズ野郎からしたら羨ましいくらいだ。
しかし、それでも共感できてしまうのは、物語の筋よりも、手記で主人公が語る言葉の一つ一つにこの小説の魅力があるからだろう。大袈裟に言えば、この小説は長編小説というよりも自分語りを積み重ねた詩集やエッセイ集のような読み心地すらある。

ただ、この「手記形式の独白体」であるということには注意が必要に思える。
本書の手記部分(=ほとんどの部分)の地の文は、"主人公の思考"ではなく、あくまで手記に過ぎない。これを書いている時点で主人公は手記の末尾よりも未来にいるわけで、最後まで読めば分かるように、もはや死の間際にあると言ってもいいだろう。
そんな状況でわざわざ自分語りを手記に書くような人間なら、そしてこんなに魅力的な文章を書ける人間なら、絶対にお話として面白くするための誇張をしているはずだ。いるいるそういう奴!
そこを差っ引いて読むと、やたらと「人間の生活がわからない」だの「人の考えてることが理解できない」なんて言っているのは逆に主人公が普通の人間であることの証左にも思える。だってそもそも誰でも普通は人の気持ちなんて分からないし人と関わることは怖いでしょ?恋するという気持ちに自信を持てないのだって普通のことだろう。
極端に言って仕舞えば、そんな「普通の人間がヤバい奴ぶって語る悲喜劇」というところが、本書のキョウカンビリティ(今考えた共感しやすさ的な造語)の高さの秘訣だろう。

そんな本書の中でも私が特に共感してしまったのは見透かされる怖さについてだった。
主人公の少年時代、処世術のお道化として鉄棒をワザと失敗するのを、白痴の竹一くんにだけ見破られてしまうシーンが印象的だが、私が最も気に入ったのはこの一文。

 

尊敬されるという観念もまた、甚だ自分を、おびえさせました。ほとんど完全に近く人をだまして、そうして、或るひとりの全知全能の者に見破られ、木っ葉みじんにやられて、死ぬる以上の赤恥をかかせられる、それが、「尊敬される」という状態の自分の定義でありました。

 

私のような中身のない人間にとっては幻滅されることが一番怖いのだ。何も出来ないし何も考えていないのに、何かを期待されて、勝手に期待と違ったからといって捨てられる、そんな恐怖が常にある。だから仲のいい人ほど怖い。自分のことを知られれば知られるほど、このどうしようもない中身の無さに気付かれる。ゴミのくせにいい人ぶるから。「いい人だと思ってたのに」なんてね、言われちゃうんですよ。
作者の趣旨と合っているかは分からないが、この部分を読んでいて、そんな自分が普段抱えている人間関係への怖さを突き付けられた気分になった。

 

 

 

さて、ここまで共感できる青春小説としての側面を見てきたが、この作品の凄さは、読者を引きつけてぐいぐいと先を読ませるエンターテイメントとしての牽引力にもあると思う。
いや、それはこの作品に限らず今まで読んだことのある太宰作品(といって短編いくつか読んだ程度だが)には共通して言えることだ。太宰作品には読者を楽しませるサービス精神(それこそ本作の主人公の"お道化"のような)が強く感じられる。

例えば、冒頭の「はしがき」で第三者の目線から、葉蔵の幼少期、青年期、そして死にかけているような時期の3枚の写真が描写される。これによって、美しい容姿を持っていた男がいかにして3枚目の死んだような男に成り果てたのか、という興味を冒頭から植え付けられ、先が気になってしまう。他にも、「このことが後にあんな形で実現するとは......」といったような仄めかしが何度か出てきて、どう回収されるのか気になって読み進めてしまう。

また、主人公以外にも印象的なキャラクターがたくさん登場し、その人たちとの会話も抜群に面白くて引き込まれた。

会話の場面で特に好きなところが2箇所ある。

 

1つは煙草屋の娘のヨシちゃんとの会話である。
いつも酔っ払っている主人公に、彼女は八重歯を見せて笑いながら飲み過ぎよと忠告する。それに対して訳のわからない戯言をまくし立てる主人公だが、ヨシちゃんは相手にしません。
「この野郎。キスしてやるぞ。」
とセクハラまがいの事を言う主人公に、ヨシちゃんは一言
「してよ。」
......こら〜っ!してよって!八重歯のある処女に「してよ」と来られたら男としては堪ったもんじゃない。これに対する主人公の
「馬鹿野郎。貞操観念、......」
というツッコミも絶妙。1番萌えたシーンである。

 

もう1つ好きなのは、悪友の堀木との言葉遊びの場面だ。
例えば、名詞を悲劇名詞と喜劇名詞に分ける遊び。
「煙草は?」「トラ(悲劇)」「死は?」「コメ(喜劇)」てな具合。私も友達がいたらこんな遊びしてみたかった。
しかしアント(対義語)を考える遊びとなるとなかなか難しい。
「花のアントは?」と聞く葉蔵に対し、堀木は様々な単語を挙げるがどれも不正解。葉蔵はヒントを出す「この世で最も花らしくないものだよ」そして堀木センセイ気付く「なあんだ、女か」
ここまでは冗談みたいなものだが、続いて発される「罪のアントは何か?」という問いに、葉蔵は答えを出せない。罪の対義語とはなんなのか?罰?いや違う......。「ツミの反対はミツさ」と茶化す堀木に強く苛立ってしまうほど葉蔵はこの問いに心を乱されるが、結局作中で答えは示されない。
この問いかけについて、人からしっくりくる答えを聞いたことがあるが、他人の考えを偉そうに書くのも恥ずかしいので書かないでおく。謎が残ることで読み終わった後も読者のアタマは作品に囚われたままになってしまうあたりも上手いなぁ、と。

 

そんなわけで、暗くて重いようなイメージが強い本作だが、このように、読んでいて普通に面白いサービス精神も持ち合わせているからこそ今も読者から愛され続けているのだろうと思った。

 

 

 

さて、最後にラストについて。
ネタバレしたからといってつまらなくなる小説でもないけれど、一応ラストに触れるので未読の方はご注意を......。

手記のラストで、葉蔵は自らを「人間、失格」と断言している。

 

いまは自分には幸福も不幸もありません

 

というように、この「人間失格」とは幸福も不幸も捨てたことを表すのだろう。

幸福と不幸については、カフェの女給ツネ子とのシークエンスにも語られる。ツネ子と寝た夜について、葉蔵は手記のうち肯定的に使う唯一の「幸福」だと書いているが、その次の朝のシーンではもう

 

弱虫は、幸福をさえおそれるものです。綿で怪我をするんです。幸福に傷つけられる事もあるんです。傷つけられないうちに、早く、このまま、わかれたいとあせり、れいのお道化の煙幕を張りめぐらすのでした

と来る。


しかし、これに似た気持ちは誰にでもあるのではないか。そもそも幸福とは終わるものである。ずっと幸せなままではあられないだろう。そして、「幸せが終わる」という不幸ほど苦しいものはない。それならいっそ幸せを捨ててでも不幸になりたくないと思わねっすか?私はそう思う。どいつもこいつも「何もないよりは辛い思いしてでも幸せを追いかけろ😤」とかゆーじゃん?いやそーゆーのいいからってカンジよね。

 

そして、手記が終わった後、あとがきのラスト一言も印象的である。葉蔵を知るバアのマダムの一言、

 

私たちの知ってる葉ちゃんは、とても素直で、よく気が利いて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、......神様みたいないい子でした

 

これは、葉蔵が誰からも真に理解されないままであったという意味に取ることも出来るだろう。
しかし、これは言い換えれば、葉蔵自身が人から見た自分の姿を理解できていなかったとも言えるのではないか。
葉蔵がああなってしまったのは人に抵抗できない弱さのせいですが、それは裏を返せば他人を否定できない優しさとも取れるのではないか。そして、そんな優しい彼が「人間失格」であるということは、人間失格じゃない人間の方がおかしいということにはならないか。ラストのマダムの一言は、人間失格に生まれついた太宰からの、偉い人間様が牛耳る世の中に対する痛切な皮肉のように思えてならない。

 

こんなに長々と書くつもりはなかった。これだけの名作だから私が書いたことくらい他の誰かがとっくに言ってるだろう。そう思うとこんな稚拙な感想文を長々と書き連ねたのがとても恥ずかしくなる。しかし、それでも、私は私なりにこの物語を自分のものだと錯覚させられてしまい、何番煎じでもいいからとりあえず何か言いたいという気分にさせられてしまった。やはりそれだけの力を持つ作品だと思うし、だからこそ今なお根強い人気を集めているのだろう。今みたいな死にたい気持ちの時にこれを読んで良かったと思う。少し救われた。いや嘘。しんどい。

 

 

 

 

好きなゾンビコメディ15選 (或は超ざっくりゾンビコメディ映画史)

 

 ○はじめに

 

これまで「失恋映画」「どんでん返し映画」と自分の好きなジャンルの映画についての記事を書いてきましたが、この2つと並んで大好きなのがそう、ゾンビ映画、中でもコメディ要素のあるゾンビ映画なのです。

 

今回は私の個人的に好きなゾンビコメディを15本選んで、制作年順に紹介してみようと思います。なんとな〜〜くゾンビコメディ映画史のまとめっぽくもしたので、これを参考に暑い夏を恐怖と笑いで涼しく乗り切ってください(私のペラッペラに薄い知識の範囲で書くので勘違い等あったらスミマセン)。

 

さて、本題に入る前に、まずはゾンビ映画そのものの歴史を超ざっくり紹介します。

まず、世界で初めてゾンビが登場した映画が、1932年の『ホワイト・ゾンビ』という作品......らしいです。
と偉そうに書いておいてなんですが、私がまだ観られていないので、本やネットの受け売りになってしまうのをご容赦ください......。この映画におけるゾンビはあくまでただの生ける死者で、現代のゾンビ映画に見られる「人を食う」「半分腐ってる」などの設定はないそうです。

 

では、そういった腐ってて大勢で人を食って感染していく......という、現在一般的なタイプのゾンビ映画の始まりはというと、ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968)です。これにあの有名な『ゾンビ』(1978)と死霊のえじき(1985)を加えて「ロメロ三部作」と呼ばれています。そして、人を食うベーシックなタイプのゾンビを「ロメロ・ゾンビ」と呼ぶこともあります。それくらい、このロメロ三部作は革新的な作品群だったと言えるでしょう。

 

というわけで、ロメロ以降、彼のフォロワーによってゾンビ映画は大量に製作され、やがてジャンルそのもののセルフパロディ的な所謂ゾンビコメディ映画もどんどん出てきます。

そしてやっと本題に入りますが、そんなゾンビコメディを確立したのがこのシリーズ!

 

 

 

01.バタリアン(1985)
02.バタリアン2(1987)

 

 

 

 

 

 

私はまだ産まれてなかった時代ですが、テレビ放映されてオバタリアンなんていう派生語も流行するなど、日本でも大ブームを巻き起こしたそうです。

 

1の方は、ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のその後の話......という設定のパロディ作品。ゾンビコメディの嚆矢と言っても良いのではないでしょうか。
何と言っても出てくるゾンビたちのビジュアルが濃いんです!

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本作のゾンビは首を斬っても死にません。あとなぜかこいつだけ黄色い。

 

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ゾンビ界でも人気の高いタールマン。キモカワです。

 

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ババアのゾンビ。いわゆるオバタリアン

 
そして、本作で最も特徴的なのは、ゾンビが喋ること。唸るように「Brain!(脳ミソ食わせろ)」と言いながら襲いかかってくるのは恐ろしくもどこか愛嬌があります。

さらに、ゾンビが人を襲う理由もゾンビ自らの口から語られます。これがちょっと可哀想でまた印象的。

 

2の方は、子供が主人公で、どこか「ホームアローン」などに近い雰囲気も漂わせつつ、1のセルフパロディとして更にコメディに寄せたゆる〜い作品に仕上がっています。なぜかあまり評判良くないですが、ブラックユーモア満載で個人的には1より好きかもしれません。

 

ちなみにこの後シリーズはなぜかシリアスな恋愛ものになる3(これはこれで革新的ではあります)、安っぽく劣化してしまう4、5と続きますが、とりあえず1と2だけ観ておけば十分かと思います。

 

 

 

03.死霊のしたたり(1985)

 

 

 

 

H.P.ラブクラフトの小説を原作にしつつ、クライマックスのハチャメチャすぎてもはや笑えるグロ描写がカルトな人気を誇る怪作です。

 

この映画の最大の見所は「ゾンビ化した博士が首チョンパされるも自らの生首を抱えて全裸の美女をペロペロする」という滅茶苦茶なシーンに他なりません。これが気になる人には絶対観てほしい、興味がわかない人は絶対観なくていい、そんな作品です。

 

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全裸の美女と首だけの博士。

 

ちなみにこれもシリーズ化されていますが、1から3まで全て一貫して「中盤までは退屈だけどクライマックスのハチャメチャさだけで満足できる」という感想しかありません......。とにかくバカです......。

 

 

 

04.死霊のはらわたII (1987)

 

 

 

死霊のはらわたII [Blu-ray]

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1981年製作の伝説の名作『死霊のはらわた』の続編です。

 

どうでもいいですが、死霊という枕詞に「はらわた」、「えじき」、「したたり」というそれぞれ別の作品があってほんとにややこしいですよね。これに「悪魔の」「いけにえ」も混ざって慣れないうちは頭こんがらがります(慣れると覚えられます)。

 

閑話休題
この『しりょはら2』は、なんとトーリーはほぼ1と一緒!

だけど意味不明すぎて笑えてくるグロ描写を1よりもパワーアップさせたことでシュールな笑いに襲われる、とにかく不思議としか言いようのないスプラッタに仕上がっています。冒頭から既にクライマックスで、「導入?んなもん知るか!」とばかりにハイテンションを維持してくれるのが楽しくて、これ観てれば浮世のつらいこととかみんな忘れて頭空っぽになれます。

 

Evil Dead 2 best scene ever. - YouTube

これ観てもらえば雰囲気は伝わるかと......。

 

 

 

05.ゾンビ・コップ(1988)

 

 

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ゾンビを捜査するうちに自らもゾンビ化してしまった刑事の主人公が、相棒(こちらは生身の人間)とともに黒幕を追うというストーリー。

バディものとゾンビコメディを融合させた、なかなか斬新な作品です。


バディものらしいアメリカンジョークの掛け合いの笑いと、ゾンビものとしての「グロ過ぎて笑える」という感覚の両方の笑いが詰まっているあたり、本当に当時としては革新的なのではないかと思います。


キャラの良さといい爽やかさといい、後の2000年以降のゾンビコメディの早すぎた先駆作......という気がしないでもないような気がします。

ちなみに、ゾンビファンとしては、この作品の"とあるもの"がゾンビ化してしまうシーンが本当に大好きで、不意打ちで観て吹き出したのでぜひ何も調べずにあの笑撃を味わって欲しいです。

 

 

 

06.ブレイン・デッド(1992)

 

 

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80sのゾンビブームの後、1990年に羊たちの沈黙が登場したことで、ホラー界ではゾンビは忘れ去られ、サイコもの路線が主流になっていきました。


そんな中で、1992年、80sのゾンビものの最終到達点となる本作が登場してしまうのです......。

この作品の何が凄いって、人体破壊がとにかくやりすぎなんですよ。
使用された血糊の量は映画史上最多!

人間が考えうる限りの全て人体変形を網羅しているかのようなグロ描写。それが行き着いた先には、もう人間の尊厳などというものは意味を失くし、人体破壊はただのギャグに成り果ててしまうということを実証した問題作です。

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グロすぎわろた。


ここがギャグ系ゾンビの極北。これより先にギャグ系ゾンビの道は残されていません。

 

ちなみにゾンビの赤ちゃん、ゾンベイビーというマスコットキャラが出てくるのも人気の秘訣でしょうか。

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〜Interlude〜

 

というわけで、ギャグ系ゾンビの極北『ブレインデッド』以降、ゾンビ映画は低迷の時期を迎えます。

しかし、2000年代に入ると、大きく2つの路線でそれこそゾンビの如く復活を遂げ、現在に至るまで人気ジャンルの地位を保っています。


その2つの路線のうちの1つは、バイオハザード(2001)の大ヒットで注目を受けた「アクションゾンビ」という路線です。
このアクション路線では28日後...』『ワールドウォーZ』、日本では『アイ・アム・ア・ヒーロー』などが代表的だと思います。
そして、もう1つの路線というのが......。

 

 

07.ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)

 

 

ショーンオブ・ザデッド

ショーンオブ・ザデッド

 

 

 

そう、そのもう1つの路線というのが、このショーン・オブ・ザ・デッドを皮切りに注目される「ゾンビコメディ」路線に他なりません。


では、この作品以降のゾンビコメディは、この記事でこれまで紹介してきた80s頃のゾンビコメディと何が違うのか?


超ざっくり言うとそれは「ゾンビが主か、コメディが主か」だと思います。
80sの作品群は、ゾンビ映画としてのグロ描写などを徹底しすぎるあまりギャグのようになってしまった」という、ゾンビ映画オタク向けの笑いがメインでした。
一方、2000年以降のゾンビコメディは、あくまで「ゾンビというモチーフを用いたコメディ映画」であって、普通のコメディ映画同様にキャラクターの魅力や会話の面白さがメインの誰でも楽しめるものになっていると感じます。

 

で、ようやく『ショーン』の話に入りますが、この作品はまさにそのキャラや会話の面白さが抜群なのです。

 

キャラでいうと、RPGのように1人ずつパーティー(仲間)が増えていってみんなでゾンビから避難するという構成が上手いですね。どんどんパーティーに加わってくる仲間たちに愛着が湧いてしまうのが人情というものです。


会話については、映像とも相俟ってバカバカしいのにどこか知的でスタイリッシュ、そして少しブラックな笑いが散りばめられています。これは英国のお国柄でしょうか?そういうところを「気取っててうざい」と受け取る人には勧められませんが、その点に寛大な人には是非観て欲しい快作だと思います。

 

ちなみに、これが面白ければ、この監督と主演コンビによるミステリコメディ『ホット・ファズ』、SFコメディ『ワールズエンド 酔っ払いが地球を救う』もハマるはずです。

 

Shaun Of The Dead - Zombies, what zombies? Simon Pegg, Nick Frost, Edgar Wright - YouTube

ショーン冒頭、サイコーです。このセンスが好きならぜひ。

 

 

 

08.ゾンビランド(2009)

 

 

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ゾンビコメディの名作として『ショーン』と並んで耳にする機会が多い作品です。

『ショーン』がちょっとブラックな面もあったのに対し、この作品はカラッと明るく楽しく爽やかで、老若男女が楽しめるようなキャッチーさがあります。

 

一方で、童貞大学生の主人公が提唱する「ゾンビから生き残るための32のルール」など、ゾンビ映画というジャンルのパロディとしての要素も強く、ゾンビ映画オタクも楽しめるディープな作品でもあるのが凄いです。
ちなみにこの32のルール、例を挙げると「2度撃ちでトドメをさせ」のようなあるあるネタから「シートベルトをしろ」という、聞いただけでは理由のわからないものまで様々で、「次はどんなルールが出てくるの?」という興味を持たせてくれます。

 

さらに、青春・恋愛の要素もあって、童貞の主人公がゾンビとの戦いを通して運命の女性と出会うという筋立ては後のゾンビコメディにも大きな影響を与えているような気がします。

 

また、キャラもいいです。

童貞主人公とゴツいおっさんという対照的な男2人。でもこのおっさんがトウィンキーという甘ったるいお菓子大好きっていうのが可愛いですね(このトウィンキー、私も実際に食べましたが、甘党の私でも甘すぎて苦手でした......)。

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そして、男はどうでもいいけど、『ラ・ラ・ランド』で大ブレイクしたエマ・ストーンが出ているのは大きな見所の一つです。エマさん、最近はパツキン美女というイメージが強いですが、この作品に出ている時は髪色暗めで日本人好みの美しさだと思います。やっぱり映画って華やかなヒロインがいると一層愛着が湧きますよね。というかこの当時まだ20歳そこそこですよ!色気ありすぎでしょ......。

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 エマさんの妹役のアビゲイル・ブレスリンもこの時全盛期なのではってくらいに可愛かったです。

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そんなこんなで、甘酸っぱく爽快なゾンビコメディというものを確立した傑作だと思います。

 

 

 

09.ゾンビヘッズ 死にぞこないの青い春(2011)

 

 

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青春・恋愛の要素を濃く投入してキャラの良さと会話の面白さで魅せてくれるあたり非常に正統派なゾンビコメディ映画です。

 

が、1つ大きな特徴があります。
それは、主人公が半分ゾンビになって、ゾンビハンターである人間たちから逃げながら好きな女の子に会いに行く、という設定。


普通なら人間がゾンビから逃げるところを逆転させることでより主人公に感情移入してしまい、終盤の女の子に会うあたりのエモさが増していると思います。だってゾンビになってまで好きな子に会いに行くんですよ!これはエモいでしょう!

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また、そうした青春ロードムービー的な面を押し出していながらきちんとわざとらしいほどのゾンビ映画オマージュを散りばめてくるところも憎めません。

 

ラストは賛否両論分かれそうですが、個人的にはメチャクチャ好きですし、その後エンドロールに至るまで楽しさが詰まっていて、一本の映画を観てここまで強い愛着を抱いてしまうのも珍しいくらい好きな作品になりました。

 

強いて惜しい点を挙げるなら主人公がピンチを切り抜ける方法がワンパターンなことですが、細かいこと気にしなければ最高の青春ゾンビコメディです。

 

 


10.インド・オブ・ザ・デッド(2013)

 

 

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近年『きっと、うまくいく』をはじめとするボリウッドのインド映画が映画界でメキメキと存在感を増してきていますよね。
そんな中で、ついにインド初のゾンビ映画も製作されました。それがこれ。

 

「ゾンビだって?ここインドだぞ?」「グローバル化だよ」
という会話、最高です。

 

これも『ゾンビランド』路線のカラッとしたゾンビコメディなのですが、主人公たち仲良しトリオがクズ野郎なのが新しいです。
なんせ女とヤるために孤島のドラッグパーティーに行こうぜ!という欲望に忠実っぷりには一周回って好感が持てます。


また、こいつらかなりバカなので常に非合理的な行動ばかり取ります。私はコメディだしそこんとこ気にせず楽しんだのですが、登場人物がバカなのにイライラしてしまう人にはオススメできません。

メタ発言やゾンビパロディもわざとらしくて鼻に付くかもしれませんが、製作者がこのネタやりたいんだろうなぁというのが伝わってきて愛着が湧きました。

 

また、音楽がとってもよくって、ドラッグをテーマにした映画らしいトリップ感を味わえる不思議なインドミュージックになっています。この映画観た後ハマっちゃって一時期毎日Youtubeで聴いてました。
むしろ音楽好きとしては映画本編よりも中毒性高いこの曲をオススメしたいくらいですよ。

 Go Goa Gone - Babaji Ki Booti New Official HD Full Video - YouTube

 

 

 

11.ウォーム・ボディーズ(2013)

 

 

ウォーム・ボディーズBlu-ray
 

 

 

人間の女の子とゾンビの男の子の恋愛を描いたゾンビラブコメ......というゾンビ映画の新たな切り口を打ち出した意欲作にして問題作です。

 

半ゾンビと人間の恋というのは上で紹介した『ゾンビヘッズ』や『アンデッド・ウエディング』など先行作もありますが、どちらもイメージとしては童貞向けのB級映画


それに対して、女子をターゲットにしたオシャレムービーとして「ゾンビ×人間」をやっちゃったところは物凄い英断だと思います。

 

ただ、そのせいでゾンビが感情を持って喋るという、そもそもゾンビ映画の根幹を揺るがすような設定や、随所に見られる御都合主義の数々など、何でもあり感が強すぎて受け入れづらい部分もあるように思います。

 

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個人的にはゾンビのくせにイケメンな主人公がむかつきます。


ただ、深いことを考えずに、ゾンビ映画だとも思わずに、ロミオとジュリエットを下敷きにしたラブコメとして見た場合はやはり良くできた作品だと思うので、好きでもあり嫌いな部分もありという非常に複雑な感情を抱いてしまいます。

 

とはいえ、ゾンビラブコメという新ジャンルを確立した功績は大きいと思います。

 

 

 

12.ゾンビ・ガール(2014)
13.ライフ・アフター・ベス(2014)

 

そして、『ウォーム・ボディーズ』以降にゾンビラブコメとして作られたのがこの2作。
どちらもゾンビになった元カノと、生身の今カノ(今好きな人)の間に挟まれた主人公の男の子というあらすじは似ていながら、味わいは全く違います。


まず、『ゾンビ・ガール』
エコロジーへの熱意が行き過ぎた彼女とすれ違ってしまい、別れ話をするために彼女を呼び出すと、待ち合わせ場所に来る途中で彼女が事故死してしまいます。
主人公は「自分が別れようと思わなければ彼女は死ななかった」と罪悪感に苛まれつつも、慰めてくれた趣味の合う女の子にソッコー乗り換えます。
しかし、死んだエコ彼女が突然家に帰ってきて、主人公は彼女をどうにかしようと奮闘します。

 

この作品では、ゾンビ化した元カノは最初から邪魔者扱いで、たしかに付き合うにはメンドくさい女でしたが復活後の扱いが酷すぎて少し同情してしまいます。
でも基本的にコメディに振り切っているので、元カノに同情したからといって後味が悪くなったりはしません。また、ホラー映画オマージュもふんだんに散りばめられていて、軽いスナック感覚で笑いながら観られる映画でした。

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 きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。これで。

 

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まあ生身のこっちのがいいですよね。

 


一方の『ライフ・アフター・ベス』では、喧嘩したまま死んでしまった彼女がゾンビとして蘇り、主人公は最初は彼女をもっと大切にしようと決意します。

 

しかし、どんどん腐っていって言動もおかしくなっていく彼女と一緒にいるうちに、ふらっと生身の女の子になびいてしまいそうになるという、心理的にはリアリティのある話になっています。
そのため、コメディとは言いながらどこかいたたまれなくて笑っていいのか分からないような不謹慎な笑いになっているのが特徴的です。


そんなストーリーに主演がデイン・デハーンなのも相俟って、非常にサブカル臭い映画になっています。ゾンビ映画というよりも、むしろ以前のブログで紹介したようなつらい恋愛映画好きにこそオススメしたい作品になっています。

 

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 暴れないようにタンスにくくりつけられるベス。悲しいです。

 


同年に製作され、あらすじだけ見ると似たような話ながら対照的なこの2作、見比べてみるのも面白いかもしれません。

 

 

 

14.ゾンビーバー(2014)

 

 

ゾンビーバー [Blu-ray]

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タイトルで分かるように、ゾンビになったビーバーが人間を襲うという、確信犯的にB級な映画です。

 

襲われるのはもちろんバカな若者、略してバカ者たち。なんせハングオーバー!』のスタッフが撮ってるから筋金入りのバカ者たちです。彼らのほぼ下ネタだけの中身のない会話がアメリカンなバカコメディ好きな人にはとても心地よいです。

 

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 もちろん水着あり。ポロリもあるよ。

 

ゾンビーバーちゃんも可愛い。どこからどう見ても人形なのにはいっそ潔さすら感じます。

動物ゾンビといえば『ペット・セメタリー』という名作もありますが、もちろん本作はもっと脱力系です。

 

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 ゾンビーバー。


そして、本作のゾンビ映画としての最大の見所は、ゾンビーバーに噛まれた人間がゾンビーバー人間になってしまうこと!ゾンビになるだけでなく、ゾンビーバー人間になるんです。このキモい変身シーンはかなり気合が入っているので必見です。

 

まぁ、これの場合、文章を書いて紹介するよりも、タイトルが気になるなら観ろ!という感じの作品です。

 

 

 

15.ゾンビワールドへようこそ(2015)

 

 

 

 

最後にご紹介するのはこの作品。
ボーイスカウトに入っているズッコケ童貞三人組と、イケメンなセクシー美女が主役。

 

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 イケメン美女。撃たれたいです。

 

スカウトという設定は目新しく、終盤それが活かされる展開はアツいのですが、それ以外は非常にオーソドックスなゾンビコメディです。


ただ、下ネタもグロネタも盛りだくさんでめちゃくちゃ下品なのに、どこか下品になりすぎないスタイリッシュさもあります。そしてキャラクターも魅力的で青春映画としても楽しめたりします。

 

個人的にはホームセンターのシーンが大好きなのですが、そういうゾンビファンには嬉しいくすぐりがあるのも巧妙だと思います。登場人物の行動が案外合理的でイライラさせられないのも良いですね。

 

そんなわけで、非常にオーソドックスなんだけど、とにかく全体に過剰なテンションと見事な脚本で魅せてれます。
王道で面白くするのってとても難しいと思うんですが、本作はそれに成功した傑作と言ってもいいのではないでしょうか。

 

 

 

 

○おわりに


さて、10000文字に渡って好きなゾンビコメディについてお送りしてきましたが、そろそろお別れの時間になってしまいました。

 

ゾンビ映画史のようなことも書きましたが私自身知らない映画もたくさんあるので勘違いや無知による間違い等ありましたら申し訳ありません。
この記事がゾンビコメディの世界への入り口として少しでも参考になれば嬉しいです。

 

そして、ここに紹介した以外にも素敵なゾンビ映画、ゾンビコメディ映画はたくさんあるので、ぜひ共にゾンビの世界へ堕ちようではありませんか!

サスペリア

2017年6月25日はこの作品の日本公開40周年記念日だそうで、そのためかイマジカBSで放映していたのを機に再び鑑賞しました。やっぱり良いですね。

 

 

 

サスペリア [Blu-ray]

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製作年:1977
監督:ダリオ・アルジェント
出演:ジェシカ・ハーパー

☆3.6点

 

 

トーリーはバレエ学校へ編入した主人公が学校に潜むとある秘密を探っていくお話で、アルジェント作品にしてはきちんとした筋がある方だと思います。

 

でもやっぱりそれより何よりこの作品の魅力は音楽と、独特の映像美と、気持ち悪いシーンの連続でしょう。
全編にわたってあまりにも強調されている赤や青の燻んだ原色使い。装飾的な舞台セット。凝ったカメラワーク。一つ一つのカットがそのまま芸術品です。

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こんな感じの映像、好きな人には堪りません

 

 

冒頭、サスペリアのテーマ(by Goblin)をBGMに嵐の中バレエ学校へ向かうシーンからして不穏で期待が膨らみます。このシーンに幽霊が写り込んでいるという噂も有名ですね(実際は監督の悪戯だそうで)。

そしてその次にもう一つのプロローグとして描かれる、バレエ学校から逃げた女の子が殺されるシーンが絶品です。というか早くも一番の見どころです。手だけが映される犯人、ステンドグラズを割って降ってくる死体、ガラスの突き刺さった顔、アルジェントの美学がこれでもかと詰まってました。

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このペンキっぽい血の色がいいんじゃ〜

 

他にも蛆虫、犬、こうもりといった生き物を使った気持ち悪いシーン、魔女(?)に幻惑されるシーンのクラクラ感など、ストーリーそっちのけでインパクトの強いシーンが盛りだくさんです。

また、キャラクターもみなさん濃いです。主人公は楳図漫画にでも出てきそうな感じのホラー顔美少女。顔芸の先生怖いし、醜い使用人や謎の少年もいるだけでアトモスフィア〜〜。変な友達や盲目のピアニストは最期が可哀想すぎますね......。

 

そして、過程でこれだけ飾り付けておきながらラストが潔いのも好きです。エドガー・アラン・ポーを受け継いだラストシーン。謎の笑顔の不気味さ。かっこいい音楽のエンドロール。

 

ホラー的な雰囲気が好きな人にとっては嬉しく、興味ない人には全然面白くないであろう作品です。雰囲気はほんとアルジェント作品の中でも最高だと思います。

ちなみに個人的にはアルジェントのベストは「フェノミナ」だったりします。次点で「トラウマ」と「サスペリアPart2」かなぁ......。「サスペリア」はその次。

スピッツ「子グマ!子グマ!」を聴いた男

 私、小説や映画と並んで音楽も好きなのですが、中学時代の音楽の成績は1、良くても2でした(5段階評価)。で、ギターとベースの聴き分けも自信無いくらい音楽的素養に乏しいため、今まで音楽に関してはレビューとか一切書いたことがありませんでした。


でもまぁせっかくブログ始めたし、どうせほとんど誰も読んでないと思えば的外れでも何でも気楽に放言できるのでこの機会に、一番思い入れの強いバンド・スピッツの、最新アルバム『醒めない』より、今スピッツで一番好きなこの曲についてだらだらと呟いてみます。誰も読んでない気楽さよ〜万歳!

 

 

 

醒めない(初回限定盤)(DVD付)

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ってわけで、この曲、ええ、最初にタイトル見たときはびっくりしましたよ。「子グマ!子グマ!」て!50のおっさんが何を!でもそれが許されちゃうのがスピッツ〜そしてこんなタイトルでどちゃくそ切ない曲に仕上げてくるあたりがスピッツ〜。

 

アルバムを買った時に、 どんな曲かと一番楽しみにして聴いたのですが、初聴のイントロからしてやられました。

あ、言っときますけど音楽的素養ないので音の面に関してはテキトー書きますね。

えー、このイントロ、なんとなくの印象で言うと、80年代くらいの洋楽の影響を受けてオシャレミュージックをやっている最近の日本の若手ロックバンド......みたいな感じです。大ベテランなのに音に若返りが見える!!

軽妙でダンサブル、キメッキメの演奏、でもなんか切なさがあって、懐かしいけど新しい。少なくとも今までのスピッツにはなかった雰囲気の音です。でももちろんスピッツらしさの軸はブレず......。要は、イントロからして一耳惚れ。

 

そして、歌の入りがこう。

 

はぐれたら 二度と会えない覚悟は
つらいけど 頭の片隅にいた

 

 細かい状況は分かりませんが、最初っからストレートに誰かとの別れの歌だと言うことは伝わってきます。

先に言ってしまうと、恐らくこの曲を最も妥当に解釈するなら「巣立っていく子供を送り出す親の歌」ではないでしょうか。子グマというタイトルは端的にそのことを表しているように見えますし、女性のコーラス(Czecho No Republicのタカハシマイさん、綺麗な声です......)がフィーチャーされているのも、父親と母親を表しているのかなぁ、という感じがしますね。

とはいえ、リスナーの想像を単一の解釈に固定しないのがスピッツの歌詞のすごさでありまして......。状況を限定しすぎない普遍的な表現によって親子の歌にも失恋の歌にも読める懐の広さを持たせています。

そして、私は親になったことはありませんが、失恋なら得意なので、以下ではこの歌を主に失恋ソングと捉えてみていきたいと思います。

......で、次のフレーズがこれ。

 

半分こにした 白い熱い中華まん 頬張る顔が好き

 

そう、いきなりこういう具体的なディテールを持ち出してくることで一気にリアリティを持たせて共感させてきますね。

連想される季節は冬ですよね。冬。寒さや寂しさといった失恋らしいイメージがある一方、中華まんやコタツなど暖めてくれるもののイメージもある季節ですね。

シチュエーションのセレクトも絶妙。半分こにした中華まんをふーふーしながら頬張るなんて、子供とか彼女とか誰でも自分にとって特別な人がやれば可愛いに決まってます!具体的でありながらやはり誰が聴いても普遍的に「ぐわ〜っ!」と胸を締め付けられる名文ですよ。あなたの大切な人、あるいはイマジナリー・ガールフレンドを思い浮かべて「ぐわ〜っ!」しちゃいましょう。

で、サビに入ります。

 

喜びの温度はまだ 心にあるから
君が駆け出す時 笑っていられそう

 

 ぶいぶい〜と踊ってるようなベースにノリながらも切ねえぇ〜キラーフレーズです。

中華まんを一緒に食べるようななんてことない暖かい思い出が"喜びの温度"なんでしょうね。

さっきの中華まんのくだりで、頬張る顔が「好きだった」ではなく「好き」となっているところや、喜びの温度がまだ残っていることから、中華まんのくだりと「君が駆け出」してしまう場面の間に時間的な隔たりがあまりないようにも思えます。もしかしたら、中華まんを食べながら別れを切り出されたのかも知れません。というか、それって切なくて良くない?っていう、個人的趣味による解釈です。

 

トロフィーなど いらないからこっそり褒めて

それだけで あと90年は生きられる

 

 客観的な評価なんかどうでもいいから君に褒められたい。「モテたいぜ君にだけに」的なやつですね。

90年ってのも絶妙ですね。100年と言わないところが謙虚に見えますが、冷静に考えなくてもあと90年だって無理でしょう。今20歳だとしても、あと90年生きたら日本で最高齢とかですよ。でもたぶん「100年は無理でも90年ならイケる」って思ってるんでしょう。そんな謙虚に見せかけて思いっきり恋愛に酔って頭悪くなってる感じが良いですね。

 

仕事じゃなく 少しサイケな夜 バイバイ僕の分身

 

 ここだけちょっと自分の中でしっくりくる解釈が思いつきませんが、

「仕事じゃなく」=プライベート=君と会ってる時間?

「サイケな」=現実感のなさ?

で、「バイバイ僕の分身」ときたら、君に別れを切り出されて現実感を失うような感覚に陥った......というような意味合いかもしれません。

そうすると、中華まん食べながらフラれる説は却下になってしまいますけどね。

 

幸せになってな ただ幸せになってな
あの日の涙が ネタになるくらいに

間違ったっていいのにほら こだわりが過ぎて 君がコケないように 僕は祈るのだ

 

 こだわりが強く、理想を追いかけすぎてしまって傷つくことも多そうな君がコケずに幸せになってくれることを祈っているというフレーズ。ここからなんとなく、夢を追いかけるために僕を追いて遠くへ行ってしまう君の背中を見送っている感じがしますね。別れの理由なんてのは色々あると思いますが、そういう前向きな理由だからこそ、「幸せになってな」とか「笑っていられそう」なんて言えるのではないかなぁ......と。

そしてこの夢追い解釈をするとこの先の歌詞もわりとすんなり解釈出来るような気がするのです。

それに他の男にとられた説なんてつらすぎて考えたくないですしね(笑)。

そして、この後曲調がそれまでのオシャレミュージックから急にメタル感を強めてきます。オシャレだけど間奏でハードになる感じは[Alexandros]とかを連想しちゃいました。やっぱスピッツ流のイマドキロックな曲だと思います。

で、そのハードな音に乗せてついにタイトルのフレーズが登場します。

 

子グマ!子グマ!荒野の子グマ
おいでおいでするやつ 構わず走れ
子グマ!子グマ!逃げろよ子グマ
暗闇抜けて もう少しだ

 

 甘辛ミックス!ハードな音と童謡「森のクマさん」みたいな歌詞とのギャップ萌え!シレッとこういうことしてくるからスピッツさんニクいねぇ。

で、この部分の歌詞ですが、森のクマさんとは逆で、「君」を「子グマ」に例えて、「おいでおいでするやつ」=僕からお逃げなさいと言っています。

僕はまだ、ついおいでおいでするような未練がましいことを考えてしまうけれど、そんなことは気にせずに君の行きたいところへ行ってほしい......そんな悲痛な気持ちが込められています。

「子グマ」というワードのチョイスは、まず単純に君を可愛く思っていることの表れでキュートな動物にしてるんでしょう。また、それとは別に、「子グマ」には庇護したくなるような弱さが感じられますが、大きくなったクマは強いイメージ、立派なイメージがあります。今は頼りない君だけど、ここから飛び立って立派なクマさんになってくれ......というエールも込められているのではないでしょうか。

 

いっぱい並べた 夢・希望・諸々
バイバイ僕の分身

 

 そう考えると、夢や希望や諸々を並べたのは君でしょうか。

君が僕に夢を語るたびに、応援したい気持ちと君が遠くに行ってしまうような不安とがあったのでしょう。そしてついに、バイバイする時が来てしまったのです......。

 

喜びの温度はまだ 心にあるから
君が駆け出す時 笑っていられそう

 惜しかった思い出も 感動的に刻むから
君が遠くなっても 笑っていられそう

 

 前半は一番のサビの繰り返しですが、ここに来てより感慨深く聞こえます。「駆け出す」という言葉も最初はただ別れることを意味していると思っていましたが、2回目の今回は夢に向かって駆け出していく様が明確に想起されます。

そして後半。これもいいですね。「惜しかった思い出」が具体的になんなのかは想像に任されるところでしょう。君に言いたいことを言えなかったことかもしれませんし、もっとしょうもなく「ケーキ屋さんに行ったら定休日だった」みたいなありふれたカッコつかない惜しさかもしれません。或いは「あの時キスしてればよかった!」みたいな下世話なやつの可能性も......?

なんにしても、そんな惜しかったことも、感動的な思い出として心に刻んで、君が遠くなってもその思い出を胸に笑って送り出せるよという、僕の強さが見て取れます。いやぁ、こんなことなかなか思えないよ。こいつはすげえ奴だよ。

 と思っていると、最後の一文にやられます。

 

 強がっていられそう

 

そう!そらそうよ!泣きたいに決まってるけど、君をちゃんと送り出すために強がって笑ってるんですね。はあぁ〜泣けます。

なんというか、これまでのスピッツの歌詞って、抽象的でよくわからない前衛アートみたいなイメージのものが多かった気がして。誰か有名な歌手がスピッツの曲をカバーした時にも「歌詞が支離滅裂で覚えるのが大変だった」みたいなことを言ったらしいですが(誰かも言った内容もすごくうろ覚えですが......)、この曲に関しては、奥の深さはもちろんありつつもかなり分かりやすく感動させてくれるエンタメ寄りな作品だと思います。

そして、そのエンタメ感をラスト1行でだめ押ししてくるのです。だってこれフィニッシングストロークやん。

ぶっちゃけスピッツの他の曲の歌詞解釈なんて手強すぎて全然書けませんが、この曲について(曲がりなりにも)ちゃんと書けたのは、この分かりやすさのおかげだと思います。普段の作風が芥川賞ならこれは直木賞、みたいな(?)。

そして、こんだけ分かりやすい技巧を使いこなしてくるあたり、やっぱり草野マサムネはすげえ......っていう、要はそれだけ言いたくてこんなに長々と書いてしまいましたが、はい、草野マサムネはすげえですよ。

 

 

 

今年30周年を迎え、新曲3曲入りの3枚組シングルコレクションを発表したスピッツ。新曲最高でした。そして7/12には名古屋にライブしに来てくださるので私も見にいきます。楽しみ〜。

とまぁ、やっぱりまだまだ醒めないですね。今後の活動も楽しみにしてます。

スピッツさん、30周年おめでとうございます㊗️🎉🎊🍾㊗️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ここからは完全な余談の自分語りですが、私ってフラれると荒れに荒れて相手の見てる前で泣き言言ったり悪口言ったりする、一言で言えばゴミ野郎なんですよ。

この曲を聴いて以降2回フラれたんですけど、2回ともそんな感じで、この曲の主人公のような潔い態度が取れなかったことが悔やまれるというか恥ずかしいというか自分なんか死ねばいいというか。

草野さん、ごめんなさい。「子グマ!子グマ!」を聴いた男は、この曲が歌っていることを実践できませんでした。もしも次があったら強がっていられるようなイケメンになりたいと思います......。フラれるのに次なんてない方がいいですけどね......。

【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介

 
〈はじめに〉
どんでん返しや意外なオチのある映画って楽しいですよね!真相が明かされて綺麗に騙されれば気持ち良く、真相は読めちゃってもそこまでの伏線の上手さに唸らされることもあり、全然ダメダメなちゃぶ台返しでもツッコミながら観てれば楽しい......はず......!

 

でもそんな体験をしたくてYahoo!で「どんでん返し映画」と検索すると、ランキングとかはたくさん出てきますが、そういうのって有名作が10本とか20本とか紹介されてるだけのが多くって......。結局いろんなサイトを回らなきゃいけなくて大変ですよね。

 

そこで、今まで私が見たどんでん返し映画だと思う作品を全てまとめてみました。たくさん紹介したいので、「どんでん返し映画」の定義はわりと緩めにとってあります。


具体的な内容のネタバレはもちろんしませんが、「どんでん返しがある」ということだけでも先入観になってしまうので、気にならない方のみこの先へお進みください。

 

なお、リストアップにあたり、S、A、B、Cの4つにランク分けしましたが、なにぶん大昔に見たものでうろ覚えなので参考程度に。 SとAが超面白え、Bが普通に面白い、Cがまぁ好きな方、Dが別にって感じです。(ランクの評価軸はどんでん返し部分なので、映画として物語としての面白さを云々するものではありません)

 
 
〈S〉

 

シックス・センス

はい、やっぱりまずは「どんでん返し映画」の代名詞みたいなこの作品から。というか好きなだけですが......。

ネタ自体は前例もあれば後例もあるシンプルなものですが、絶妙な伏線と物語との融合は、オチを知ってから観てもなお、ため息が出るくらい上手いです。この作品の出来が良すぎたためにシャマラン監督は「どんでん返しの人」という誤ったレッテルを貼られてしまうのですが......。

 

キサラギ

12人の優しい日本人

サマータイムマシンブルース

邦画から3本。どれもコメディの皮を被った素晴らしいミステリーです。どれも大どんでん返しというよりは細かな意外性を積み重ねるタイプの作品ですが、そのあまりに緻密な脚本には、邦画も捨てたもんじゃないなと嬉しくなります。

 

フォロウィング

この作品についてはブログに書いたので割愛します。

 

デストラップ

1つの家、4人の人物、非常にソリッドな設定で知的な会話とどんでん返しの連続を味わえる、「粋」という言葉がぴったりの傑作です。

 

アイデンティティ

個人的に偏愛している作品です。偶然モーテルに集まった人々の間に連続殺人が起こる......展開といいオチといい新本格ミステリっぽさが濃厚で、これに関しては客観的評価とかどーでもよくただ大好きです。

 

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

ほぼ全編CGのファンタジー大作として宣伝されていました。なのでどんでん返しがあるとバラさないとどんでん返し好きな人のところまで届かないという、非常に人に勧めづらい作品なのです......。

 

情婦

シャレード

どちらも1960年前後の白黒映画ながら、大人の恋愛と知的な意外性の両方を味わえる小洒落た逸品です。

 

 

〈A〉

 

アンブレイカブル

ヴィジット

シャマラン監督から2本。前者は「シックスセンス」に続いての作品で、強いプレッシャーの中、意外なところに仕掛けを施してきた怪作。後者はスランプに陥り名声が地に堕ちたところから、華麗に復活してみせた快作。

 

メメント

プレステージ

ノーラン監督から2本。前者は結末から発端へと進んでいく異色の時系列で意外性を演出した出世作。後者はイリュージョンの世界の壮大な化かし合いを描いた、後のビッグスケールな作品に続く野心作。

 

明日、君がいない

オチ自体のインパクトよりも、オチが切なく痛い青春映画としてのテーマそのものであるところが凄すぎます。

 

容疑者Xの献身

アヒルと鴨のコインロッカー

原作付き邦画2本です。原作は、前者は東野圭吾、後者は伊坂幸太郎。今や日本を代表する2人のミステリー作家の代表作、つまり日本のミステリーの代表作と言っても過言ではありません。そんな傑作小説たちを、原作ファンの私が観ても完璧に映像化していますので、原作を既読の方にも未読の方にも絶対的自信を持ってオススメできる作品たちです。

 

ハイド・アンド・シーク

ソムニア 悪夢の少年

前者は少女、後者は少年。前者は派手な大仕掛け、後者は細かな伏線の妙。対照的な部分もありますが、どちらも家を舞台に家族を描いたホラー映画です。家族ドラマ、ホラー、ミステリー、全部味わえるんだから贅沢でしょ?

 

グランドイリュージョン

大ヒットしたアクション超大作......ですが、マジシャン集団が超大掛かりなトリックで世界を騙すという設定はまさにどんでん返し映画。主人公たちのマジックに心地よく騙されているうちに、気づけば作品そのものにも騙されているでしょう。

 

サスペリアpart2

ダリオ・アルジェント監督の出世作。いつものアルジェントらしく支離滅裂な話ですが、とあるトリックは映画ならではのもので、なおかつ空前絶後。マニアックすぎるトリックに笑える自信のある方はぜひ......。

 

ゾンゲリア

このタイトルだけ聞いて「クソ映画だよね?」と思わない人はいません。しかし、その実丁寧に作られた気品のあるホラーミステリーなのです。昔のホラーの邦題ってこれだから嫌ですね。

 

探偵 スルース

2人の男が騙し合うだけの映画。終始皮肉で滑稽なコメディの味わいとくるくる二転三転する展開が絶妙にマッチした、古き良き懐かしき探偵映画です。

 

マッチスティックメン

詐欺師のおっさん meets girlの爽やかコメディ......でありながら騙しの腕前は一級品。ちなみに、観終わってから作外のある情報を知ると余計凄みの増す作品です。

 

灼熱の魂

瞳の奥の秘密

どちらも大きなテーマを描いた重厚なサスペンスであり、そのシリアスさが真相の異様さをより際立たせている作品でもあります。人間の心の深奥を見てゾクっとさせられます。体力のあるときにぜひ。

 

フレイルティー 妄執

キリスト教、悪魔、虐待、見るからに恐ろしく嫌な感じのあれこれを扱ったサイコサスペンスです。悪夢のような雰囲気に呑まれていると、オチであっと言わされます。

 

11:14

同じ街にいる別々の6人の視点が少しずつ絡み合って夜中の11時14分に全てが繋がる......という、パズルみたいな群像劇です。ブラックで下品なユーモアも見所。

 

スクリーム

ホラー映画のお約束をおちょくったようなホラーサスペンスで、オチもまた観客をおちょくったようなものです。メタ的な悪ふざけのノリが嫌いじゃない人にはオススメです。

 

SAW2

SAWシリーズは3までしか観ていませんが、個人的にはこの2のネタが一番好きです。ただ、私以外にそう言ってる人を見たことないのが怖いです。私がおかしいのか......?

 

ワイルドシングス

一つの映画の中で起こるどんでん返しの数のギネス記録はこれなのでは?それくらい、序盤から何度も何度も二転三転四転五転六転七転と転がり続けます。「質より量」もここまでくればあっぱれですよ。

 

母なる証明

セブンデイズ

オールドボーイ

韓国映画より3本。韓国産サスペンスだけあってどれも暗いです。嫌気がさすような話を散々見せられた挙句にどんでん返しまで陰鬱だったりします。でもその重厚さがクセになるのが韓国サスペンスなんです。

 

女神は二度微笑む

韓国の次はインドです。もう踊ってるだけじゃないんです。あまりにお手本のようなどんでん返しは少し物足りなさもありますがやはり綺麗。主人公が発揮する母の強さも見所です。

 

ライフ・オブ・デビッドゲイル
死刑制度廃止論者が死刑判決を受け、記者の主人公が彼の冤罪を晴らそうと奮闘する社会派サスペンスです。死刑執行までのタイムリミットにハラハラ。ラストにどよーん。そしてどんでん返しは鮮烈にして異様。色んな意味で重たい話です。

 

ドリームハウス
家系のサイコスリラーです。「なーんだあのオチでしょ?」と予想したものが中盤で明かされ、その後あれよあれよとサプライズが連発されるのにやられました。

 

 

〈B〉

 

ヴィレッジ

恒例のシャマラン先生のコーナーです。この作品のどんでん返しも一筋縄ではいかない意外な方向からのものですが、ストーリーとの絡み合いがやはり上手いためすんなり入ってきます。閉ざされた村の雰囲気も良いです。

 

ハイテンション

屋敷女

近年のフランスのホラーから2本。これに「マーターズ」を足して三大フレンチホラーと呼ばれることもある作品たちですが、地味にどんでん返し的要素もあったりします。ただ、もちろんそれはおまけ程度。どんでん返し目当てではなく、陰鬱で救いのない独特な空気感を持つホラーとして観てほしいです。

 

SAW

デッドサイレンス

ジェームズ・ワン&リー・ワネル、現代ホラー映画界を代表する名コンビから2本。SAWはもはや伝説的ですが、オチを観て「だから?」と思ってしまったことをここに告白します。2のが面白いんや......。デッドサイレンスの方は、ギャグとしか思えないバカミス感満点の仕掛けに驚くよりも爆笑です。

 

スティング
カラスの親指

コンゲームものから2本。前者はどんでん返し映画の名作として最もよく名前の上がる作品の一つではないでしょうか。後者は映画も良かったですが、道尾秀介による原作も素晴らしいです。

 

フライペーパー

ハイテク銀行強盗とアナログ銀行強盗が同じ銀行に押し入って鉢合わせてしまう......というヘンテコなシチュエーションのアホなコメディですが、アホなだけじゃなく二転三転する意外性も備えていて、とにかく観てて楽しい作品です。

 

ラッキーナンバー7

豪華キャストによるコメディタッチのクライムサスペンスでありながら、最後まで観ると丁寧に作られた正統派どんでん返し映画でもあることが分かります。ニヤニヤハラハラドキドキびっくり!

 

ミッション8ミニッツ

列車が爆破されるまでの8分間を繰り返して爆弾の在り処と犯人を探るSFサスペンスで、ラブストーリーとしても胸に迫ってきて、もちろん意外性のあるミステリーでもありと、1本で色々楽しめる贅沢な傑作です。

 

死神の精度

またまた伊坂幸太郎原作作品です。金城武演じるイケメンだけどズレてる死神が魅力的。そして原作よりしっくりくる改変がされたどんでん返しも上手いです。

 

イニシエーション・ラブ

原作ものからもう一つ。「映像化不可能の恋愛ミステリー」をどうやって映像化したのか、そのアイデアに驚きました

。そしてコメディタッチになっていて原作よりストーリーが面白いのも素晴らしいです。

 

トラウマ 鮮血の叫び

ダリオ・アルジェント作品。アルジェント作品の中ではミステリーとして最も綺麗に作られた作品ではないでしょうか。アーシア・アルジェントの可愛さも際立っています。

 

トールマン

とある寂れた町で、「"トールマン"が子供を攫う」という噂を題材にした社会派ミステリーです。逆転がやや分かりづらく作ってありますが、話が進むにつれ徐々に理解できてじわじわくる凄みを味わえます。

 

ドット・ジ・アイ

ちょっとどろどろもありつつ爽やかな恋愛映画......だったのが、後半からは二転三転のミステリーに変貌します。うろ覚えですが見応え抜群だった気がするので私もまた見返したいです。

 

サイコ

巨匠ヒッチコックによる、ミステリ映画の代名詞。中盤の意外な(有名すぎてもはや意外じゃないかもしれませんが......)展開も良いですが、ラストもけっこうどんでん返し。歴史的意義はもちろん、今見ても普通にエンタメとして楽しめる名作です。

 

ユージュアル・サスペクツ

「スティング」に続くどんでん返し系クライムサスペンスの代名詞です。観る前に読んだWikipediaに間接的なネタバレ(ネタが同じ小説のタイトル)が載っていたので騙されませんでしたが、話としても面白く、どんでん返り方も鮮やかで、スタイリッシュという言葉がぴったりの作品です。

 

名探偵ゴッドアイ

盲目の名探偵と、彼に振り回される助手の捜査と恋を描いたラブコメミステリーです。ギャグはクドイですが徐々にクセになり、見事な伏線回収から導き出される真相も驚きで、人間ドラマとしての泣き所もあり、130分の長さに見合ったてんこ盛りエンタメです。どんでん返しとはちょっと違うかな、とも思いつつ好きなのでこの場で紹介させてください。

 

迷宮の女

多重人格者が主役、神話がモチーフという、それだけでミステリファンは歓喜しちゃうサイコサスペンスです。ネタは分かりやすいですが、雰囲気とストーリーが素敵です。

 

箪笥

韓国のホラーです。アジアンテイストのジメジメ感と美少女姉妹が素晴らしいです。「なんかどんでん返ってるっぽいけど難解でよく分からないぞ??」という感覚が楽しめる変わり種のどんでん返し映画でもあります。でもやっぱ美少女の脚が最高。

 

アザーズ

仕掛け自体はシンプルで簡単に見抜けてしまうかも知れませんが、お屋敷ホラーとしての雰囲気と仕掛けが綺麗にマッチした良作だと思います。そしてニコール・キッドマンが良いんだ。

 

悪魔のような女(1955)

 郊外の寄宿学校を舞台に、夫と妻と夫の愛人の3人の教師が繰り広げるホラーミステリーです。ホラーといっても怖いのは女。ラストは驚かされながら恐ろしくもあります......。

 

ピエロがお前を嘲笑う

ハッカー集団が主役の最先端感のあるサスペンスですが、どんでん返しは古典的。過去のどんでん返し映画へのオマージュ溢れる愛くるしい作品です。

 

8人の女たち

閉ざされた屋敷で主人が殺され、屋敷に住む8人の女たちが犯人探しをするミュージカルコメディです。明るさと女たちのどろどろ会話劇とのギャップが面白いです。オチも皮肉が効いてて洒落てます。

 

閉ざされた森

訓練中の兵士たちが殺し合った。生き残った2人の兵士の証言は食い違う。閉ざされた森で一体何が起きたのか? どんでん返しに次ぐどんでん返しが待ち受けるやりすぎなラストが楽しいです。

 

ジェイコブス・ラダー

 戦争から帰還した主人公が悪魔のような出来事に悩まされるお話。不気味でめまいのするような展開、陰鬱な雰囲気、余韻の残るラストなど、色々印象的な作品でした。

 

ステイ

自殺をほのめかす心を病んだ大学生とその主治医が奇妙な出来事に巻き込まれていくお話です。とにかく脈絡がなく起こる奇妙なあれこれに、ラストで説明がつくのが凄いです。それよりなによりそこから浮かび上がる切なすぎるもう1つの物語の余韻が......。難解で二度見したくなる映画です。

 

アンノウン(2011)

事故から生還したら自分の存在がなかったことにされちゃってた主人公が自分の存在証明を探すアクション映画です。ツッコミどころもありますがそんなものはアクションが流し去ってくれる爽快などんでん返し映画です。

 

パッセンジャーズ

だいぶうろ覚えですが、オチ自体はそんなにだけどストーリーとの融合で泣けるタイプの作品だったと思います。

 

鑑定士と顔のない依頼人

童貞を殺すミステリ映画。終盤までのストーリーがめっちゃよくてオチでゲンナリという普通のどんでん返し映画とは反対の現象が起きましたが嫌いじゃないです。

 

 アフタースクール

邦画から。内田けんじ作品。癖のある出演者たちがゆるめのコメディをやってたはずが終盤でぐわーっと伏線回収されてなんだか遠くへ連れ去られるような作品です。

 

 シベリア超特急1・2
映画評論家の水野晴郎が、映画が好きすぎてついに自分で撮ってしまったトホホ系ミステリーです。トホホなんですけど、「この作品には3つのどんでん返しがあります」みたいなことを最初に宣言してからめちゃくちゃなちゃぶ台返しをキメてくるあたり、ツッコミどころ多いけど嫌いになれません。3はいまいちでした。


〈C〉

ファイトクラブ

言わずと知れた大傑作。なので、もちろん、映画としては最高に面白いです。ただ、どんでん返し映画として語られる場合にはそれほどでもなくね?とは思ってしまうだけです。

 

殺しのリハーサル

刑事コロンボの脚本家が書いたミステリーです。なのでオチはまぁ面白いんですけど、あまりにも過程が退屈すぎてどんでん返しへの興味すら過程で失われてしまうのが惜しいです。

 

マインドハンター

孤島で行われたFBIの殺人捜査の演習中に本当の連続殺人が起こる。アクション要素が強いですが、外連味の溢れる殺し方やトリックなど、ミステリファンに嬉しい要素も多くて楽しい作品です。ただオチは古典的すぎるかと。

 

デビル(2011)

エレベーターに閉じ込められてその中で連続殺人が起こるという、映画史上恐らく最小クラスのクローズドサークルものです。あまりに舞台が限られすぎて使えるネタも限られてしまったのが惜しいです。

 

幻影師アイゼンハイム

十九世紀の身分違いの恋をベタだけど感動的に描い作品です。オチもけっこうベタなのが玉に瑕。

 

ハングオーバー

結婚式2日前に悪友たちと最後の馬鹿騒ぎをしていた花婿が激しい宴会の末に失踪してしまうお話。ほぼ下ネタ全開お下劣コメディですが、消えた花婿の行方が少しだけ意外だったのでここに入れときます。

 

カタコンベ

迷路のような地下墓地でアヤしいパーティーをしていたらミノタウルスに襲われる話。怖くもないし緊迫感もないけど、このネタをやりたくなっちゃうのは凄く分かるので少しだけ愛着の湧く作品でした。

 

ループ(2006)

タイトル通りループものです。低予算らしさ全開の不気味な雰囲気、ループするごとに出来事が変わって飽きさせない構成、オチもひねりが効いていて面白かったのですが......ただ、日本人にはこのネタは分かりづらいです。

 

リクルート

CIAの訓練のお話。どこまでが訓練か分からないハラハラ感は楽しめましたが、騙そうという意図が強すぎて真相が明かされても意外な気がしなかったのが惜しいところ。

 

レインディア・ゲーム

クリスマス、出所して堅気に戻るつもりだった主人公はひょんなことからカジノ強盗をする羽目に......。物語としてツッコミどころ満載無理やり感満載ですが、個人的にはそこも含めて好きだったりします。

 

ゲーム

デヴィッド・フィンチャー作品。これもあまりに無理やりだろ!と思ってしまいますが、このネタをやろうとした気概が好きです。

 

SAW3

3までしか見てませんが、3まででは一番微妙かな。とはいえエッジの効いたネタを繰り出してくるのでやはりミステリファンには嬉しいシリーズです。

 

パーフェクト・ストレンジャー

「ラスト7分11秒の衝撃」みたいなキャッチフレーズが強すぎて「そこまでか?」と思ってしまいました。あんまり期待しなければ普通に面白い作品だと思います。過剰広告の罪。

 

テラー・トレイン(1980)

13日の金曜日」系列の殺人鬼スラッシャーです。列車内での殺人というのがいいですね。意外な犯人の正体はちょっとしたどんでん返しです。あくまで、ちょっとした。

 

愛のメモリー

妻子を誘拐されて失った主人公。16年後に妻に似た女性と惹かれ合いますが、彼女も過去の事件をなぞるように誘拐されてしまいます。幻想的な雰囲気や二転三転の展開はいいですが、オチはもう少しインパクトが欲しいところです。というのも似たネタで衝撃的な他の作品を先に見てしまったからなのですが......。

 

レッドライト

超能力者vsインチキ超常現象を暴く博士という、ドラマ「TRICK」のシリアス版みたいなお話です。超能力を題材にした知的なやりとりは良いですが、オチには脱力してしまいました。それありかよ、と。

 

シャッターアイランド

孤島に建つ精神病棟監獄から患者の女性が失踪した。保安官の主人公は彼女を探すが......。孤島で人を探すうちにどんどん変な事態になっていくという雰囲気は素敵ですが、長い割にオチそれかい、と。

 

スイミングプール

フランソワ・オゾン監督による難解お洒落どんでん返し映画です。単純に難解すぎて驚かなかったのでCにしちゃいましたが、もう一度観てじっくり解読に取り組みたい映画でもあります。

 

エンゼルハート

ざっくり言うと探偵が人を探す映画です。聞き込みを繰り返す展開はやや退屈ですが、クスリやオカルトが絡んでくるいかがわしさは良いです。

 

悪魔のシスター

シャム双子に、「裏窓」感に、変人探偵に、狂人の解放治療。ミステリファンか^_^ヨダレを垂らして喜ぶようなガジェットてんこ盛りですが、オチはミステリファンならすぐに分かってしまうのが惜しいところ。

 

サンタサングレ
理解困難ながら"圧"の凄いカルト映画「ホーリーマウンテン」「エルトポ」などで知られる巨匠アレハンドロ・ホドロフスキーによる作品です。彼の作品の中では最もエンタメが意識されていて非常に分かりやすく、ホドロフスキー入門に最適の作品です。まぁオチだけ取ったらそんなでもないですが......。

 

輪廻

清水崇監督による王道Jホラーです。ホテルでの連続殺人事件をモデルにした映画の撮影中、キャストやスタッフが過去の事件に取り込まれていってしまう......。現実と映画、現世と前世、リアルと幻想を行き来する眩暈感が堪りません。ただ、どんでん返しになり得るネタを驚かせるつもりの微塵もない見せ方がされているのが残念です。これでミステリを志向していればどんでん返し映画の隠れた傑作になり得たのに......。
 
〈D〉

セイフヘイブン

「君に読む物語」の原作者によるゴリゴリの恋愛映画ですが、サスペンス要素があって恋愛映画初心者にも観やすい作品です。しかし、意外な仕掛けはあるのですが、本筋とあまり関係ない予想の斜め上からのものなので「ふーん」で終わってしまいます。ただ、恋愛映画としては最高。

 

悪夢のエレベーター

邦画のドタバタコメディミステリーです。コミカルなのにやけに重かったり、説明が長すぎてすっきり騙された感が味わえなかったりと、なかなか惜しいところが多いです。

 

アリスクリードの失踪

二転三転する展開そのものがどんでん返し映画的ですが、過程であんだけ二転三転しといてオチは何の捻りもないのが拍子抜けです。

 

エスター

子供が怖いホラーの新たな古典ですね。ホラーとしては素晴らしいですが、どんでん返しと言われる部分だけ見ると後出し感が強くてちょっと怒りそうになります。

 

クライング・ゲーム

これもどんでん返し映画としてよく名前が上がりますが、中盤にちょっと意外な展開があるだけです。あれは別にそんなに驚かないぞ。あと話としてもあまり好みではなかったです。

 

フライトプラン

飛行機の中で娘が失踪するも、誰も娘を見なかったと言う、果たしておかしいのは周りか自分か? みたいなお話です。なぁぁんとも物足りなくて印象に残らないんですよね......なんなんだろう......。

 

クリミナル

シンプルにして爽快なコンゲームです。ただ、シンプル過ぎて分かりやすいのと、あまりに矛盾、もしくは御都合主義が大きいのが気になります。とはいえほんと爽快なので話は嫌いじゃないです。

 

スコア

デニーロ&ノートンという豪華すぎる主演2人の痛快なクライムサスペンスなので楽しくないわけはないですが。展開もオチもお約束通りで予想を裏切るところはなかったです。

 

ジャンボ墜落/ザ・サバイバー

後の某作の元ネタと言われる作品ですが、不気味な雰囲気はいいものの話が地味過ぎてオチの盛り上がりが乏しかったです。これを元ネタにあれだけ面白くした某作は偉いですよ。

 

スプリット

ブログにあるのでざっくり。シャマラン作品としては素晴らしいですがどんでん返し部分は「そこかよ!」という感じですね。


〈?〉

ベイビーブラッド

見るからに"とあるトリック"のための伏線のような描写がたくさんあったので「B級ホラーなのにあのネタを使ってくるのね!伏線うまい!」と期待してたら使ってこなくて拍子抜けしました。だから全然どんでん返しとは関係ないですごめんなさい。

 

 

〈おわりに〉

まぁ、見たことあるどんでん返し・意外なオチ映画を列記しただけなので特にまとめもクソもないですが、これからもそれ系の映画を見たらこっそりここに追加していきます。昔の私のようにどんでん返しに飢えた人の参考になれば幸いです。